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フィギュア金のネイサン・チェン、選曲と音楽センスが天才的な理由

ネイサンは「リンクの上でも直感的に音楽を表現できる」

<このように完璧に楽曲を理解し感じ入るには、ゆっくりと練習しなければなりません。それこそ、ピアニストが毎日行っていることだと感じます。ピアニストはとてもゆっくりと弾き、作品におけるあらゆる音を文字通り感じ取るのです。そこまで細部にこだわるからこそ、リンクの上でも直感的に音楽を表現できるのではないでしょうか。>(同上)
Nathan Chen

代表撮影:雑誌協会

 音楽の仕組みと一音一音が果たす働きを身体に叩き込んでいるから、スケートとの共通性を瞬時に感じ取り、自身の演技に反映させられるというわけですね。  異なるアレンジでもエルトン・ジョンのファンキーな本質をつかみ、スケートで体現する。こんな離れ業を軽々とこなせる裏側には、純粋な知的探究心があったという素晴らしいエピソードです。

スケートと音楽の新たな可能性

Nathan Chen

代表撮影:雑誌協会

 ネイサン選手の快挙は、このスポーツにはまだまだ可能性があると教えてくれました。  そして得点だけでなく、誰も思いつかなかった新たなコンセプトを提示したという意味においても、金メダルにふさわしい演技だったのだと思います。 <文/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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