笑い飯 哲夫が経営する“激安の学習塾“とは「学力差が家庭環境によって起こるのはおかしい」
<笑い飯 哲夫さんインタビュー 前編>
Wボケ&ツッコミ漫才で異次元の笑いを生み出してきた実力派漫才コンビ・笑い飯の哲夫さん。お笑い芸人として活躍しながら、 2020年から大阪市の相愛大学で人文学部の客員教授を務めるなど教育者としての顔も持っています。
そんな哲夫さんは、8年ほど前から大阪市淀川区で、低料金で通うことができる小・中学生向けの学習塾を経営しています。
哲夫さんが塾経営を始めた背景には、昨今社会問題になっている「教育格差」に対する思いがありました。子どもたちが学力を身につけるためには公教育だけでは難しい面がある一方、学習塾に通うためには高額な授業料が必要であることに疑問を持ったといいます。
哲夫さんの学習塾「寺子屋こやや」の実態や、スタートしたきっかけなどについて聞きました。
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――哲夫さんはなぜ学習塾「寺子屋こやや」を始めることになったのでしょうか?
哲夫さん(以下、哲夫):昔から「いつか激安塾を全国に展開したいな」と思っていたこともあって、10年ほど前に学生時代の友人に出資するかたちで学習塾を始めました。その後に友人から僕が経営を引き継ぐことになったので、信頼のできる後輩に頼んで運営を任せています。僕は投資家みたいな立場です。
――「寺子屋こやや」はどんな塾なのですか?
哲夫:小1から中3まで40人くらいの生徒がいます。進学塾というより“補習塾”で、生徒が教科書やドリルを持ってきて、それを塾でやりながら分からないところを先生が教えてあげています。
僕自身、子どもの頃に家でドリルをやっていて解答や解説を読んでも分からないときに「今ここでバシッと教えてくれる人がいたらいいのにな」と思っていたんです。
――低価格で通える塾ということですが、料金はどうやって決めているのでしょうか?
哲夫:小学生の週2コースが月5500円からで、中学生の週3コースが月1万円です。毎日通えるコースもありますが基本的に1万6千円は超えないように決めています。
大阪市の塾代助成事業が所得に応じて月1万円を上限として塾代を助成しているので、それを使って通ってもらえるようにと思っています。生徒全員が制度を利用しているわけではなく、いろいろな子が通ってくれています。売れる前の大卒の芸人に先生をやってもらっているので、若手芸人が食いつなぐためのいいアルバイトになっていると思います。最初の頃は僕もよく教えに行っていました。
――先生が芸人さんだと楽しく学べそうですね。
哲夫:面白おかしく教えてくれるので、生徒も勉強に興味を持ってくれています。
先生をやってくれている芸人たちには「いつまでもバイトばっかりせんと本業で売れてな」と言ってるんです。実際に世に出てくれた芸人が何人もいるので、生徒にも先生にもwin-winな理想郷が整っているなと思います。
――哲夫さんには出資者としてリターンはあるのですか?
哲夫:僕は給料なしで、儲けという意味ではマイナスはあってもプラスはありません。儲けは考えていないですけど、「子どもたちが賢くなってくれるのが一番の儲けや」と本当に思ってます。僕がヨボヨボになったときに無料でマッサージしてくれる子が増えたら嬉しいですね(笑)。
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