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山下智久の軽やかな演技に惚れ惚れ。『正直不動産』山Pの魅力を紐解く

 山下智久(以下、山下)主演の『正直不動産』(2022年、NHK総合)が正直、凄すぎる!
ドラマ『正直不動産』ポスタービジュアル ©︎NHK

ドラマ『正直不動産』ポスタービジュアル ©︎NHK

 なんて、冗談を言ってる場合ではない。山PがNHKのドラマに初主演するというから、いったい全体どんなものになるだろうと、固唾をのんで第1話(4月5日放送)を見守った。  今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛し、山下には特に思い入れのある筆者・加賀谷健が、ダイナミックで、エモーショナルな本作の山下の“名演”を紐解く。 (※編集部注:以下、物語上の重要な場面の描写を含みます)

いつもと違う山下の横顔

 山下は、ファーストシーンから、やってくれた。どこかのタワーマンションの最上階だろうか、開巻早々、上半身裸の山下がいる。『コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―』(2008~2017年、フジテレビ系)など、数々のヒット・ドラマで必ず雄々しい肉体を見せつけてくれるお決まりのサービスショットは、もはや彼の作法にすらなっている。NHKドラマだろうがなんだろうが、脱ぐときは躊躇しないのがやっぱり山Pだ。  シックスパックは見事な肉体美で、ふっくらたくましく膨らんだ胸筋の圧倒的な美点には、惚れ惚れする。でも、窓辺で美女と向き合う横顔がいつもとすこしだけ違うのは、気のせいだろうか?  今まで山下の演技とその表情には、どこか悩ましい葛藤を感じるところがあった。スポ根漫画の伝説的主人公を演じた映画『あしたのジョー』(2011年)を思い出してもいい。矢吹仗の陰鬱な雰囲気を全身で体現するように、目を血走らせ、抑え切れない情念を拳に込めた姿。相手から不意に外される視線はあてどもなく彷徨い、孤独なイメージがとにかく様になっていた印象があった。  それなのに、この悪徳敏腕不動産屋のエース営業マン・永瀬財地(ながせ さいち)を演じる山下には、妙な落ち着きがある。美女を見つめる視線は、揺るぎなく、ただ一点をまじまじと見つめる。その眼差しには、なんの狂いも、迷いも、葛藤ももはや感じさせはしない。彼女を抱き寄せ、唇と唇をさりげなく重ね合わせるスムーズで短いラブシーンもお手の物。この余裕が素晴らしい。

山﨑努と10年ぶりの再共演

『正直不動産』より

『正直不動産』より ©NHK

 翌朝、勤務先の登坂不動産に出勤すれば、全社員が永瀬に頭を下げ、ひとりひとりに「おはよう」とだけ短く(でも、爽やかに!)挨拶を返していく。その間に、事務の女性の香水を褒めたりする目配りも忘れない手際の良さ。  彼の商談スタイルはどんな感じだろうかと思っていると、最初の契約者を演じる老人を見て、山﨑努、その人であることに、胸が高鳴った。山下と山﨑が向かい合ったら、説明なんか不要だ。詐欺師を狙う詐欺師(山下)と詐欺師界のフィクサー(山﨑)で共演した『クロサギ』(2006年、TBS系)の記憶が、呼び覚まされ、生々しい懐かしさを感じる。『最高の人生の終り方~エンディングプランナー~』(2012年、TBS系)から数えると、10年ぶりの再共演。  山﨑御大の思いがけない降臨に、目頭を熱くし、興奮ぎみの筆者だったが、どうやら気がつくのが遅かったらしい。Twitter上では、山﨑と山下の再共演は、すでに大きな話題となっていた。と言うのも、第1話放送前に山崎が自身のTwitterで、「彼がどんな人間に育って行くのかずっと楽しみにしてきました」とツイートしたのに対して、山﨑のツイート日(4月5日)に開設された山下のアカウントから、こんな引用ツイートが投稿されたからだ。 「今僕が演技の仕事をできているのは努さんのおかげです。こんな事を言って頂けて感無量です。諦めずに挑戦し続けると必ずご褒美にありつけるのだと改めて確信しました」  クロサギまで遡れば、およそ15年の時を経て、まるで親子のように成長を見守り、共有してきたふたりの関係性が、今回の再々共演によって温められ、過去を慈しむように演技するふたりの様子が、ひときわ感動的に映った。
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コメディ・モードに転換する“緊張と緩和”の名演
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番組情報
ドラマ10「正直不動産」
第2話「1位にこだわる理由」/放送:NHK総合 4月12日(火)午後10時~午後10時45分
内容:祟(たた)りで嘘がつけなくなった営業マン・永瀬財地(山下智久)は早くも売上1位の座を後輩の桐山(市原隼人)に奪われてしまう。同じ社内で顧客の奪い合いをする永瀬と桐山を尻目に、新人の月下(福原遥)は顧客第一主義で営業するが成約が取れない。そんな時、桐山が永瀬にある顧客の担当を代わってほしいと持ちかける。営業成績を上げたい永瀬は、二つ返事で引き受けたが、その物件には家賃に関するトラブルが隠されていた…


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