――俳優さんが映画宣伝の一環である取材前にエッセーを書いて、宣伝の一部を担うのは珍しいことですね。稲葉:自由度の高いエッセーの性質上、フレッシュに書けます。毎週連載なのでペースが結構クレイジーだなと自分でも思っているんですが、3年以上やっていると、ライフワークになっています。僕がレギュラーを務めるラジオ『ALL GOOD FRIDAY』が、エッセーを書くようになったきっかけです。俳優・稲葉友というよりは、素の稲葉友として話す情報番組ですが、パーソナリティのLiLiCoさんの存在に影響されました。LiLiCoさんは映画のインタビューをされる方で、その発信力を間近で見ていると、出演した作品を言葉で説明できないとダメだと強く感じたんです。
取材の機会をいただいたのなら、何か少しでも間口を広げたい。そのためには準備が必要だと思っています。ラジオで以前、一般の方にインタビューする企画もありました。芯がある職人さんの言葉はすごく面白く、相手が話したい言葉が湧いてくる瞬間を実感しました。すると、インタビュアーさんの気持ちが理解できたように思いました。それで、取材に答える側として誠実にやらなきゃいけないと思いました。
――それが、エッセーの中の「改めて言葉で伝える」というフレーズに込められているわけですね。稲葉:今回はほんとうに難しかったんですが、主演としての責任を感じました。