――タイトルに「見守れない私」とある通り、Yさんは「見守れない」ことが1番つらかったのでしょうか?
加藤:対処法としてよく言われている「叱らずに見守りましょう」は正しいことで、「そうすべきだろう」と頭では分かっているのに「でも自分はできない、ダメな母親だと感じてしまうことが余計に苦しかった」と言っていました。
それに、「触らないでね」とやんわり注意してもまた触ってしまうことにいら立ちが募っていったそうです。
Aちゃんは4歳だったので「恥ずかしい」という感情がまだあまり発達していなかったのかもしれません。だから「人前では触らないよ」「隠れてしようね」と教えてもあまり伝わらない。本人は隠れているつもりでも、実際にはYさんの前でその部分だけを隠している状態だったりしたそうです。
大人からしたら目の前で自慰をされているのと同じなので、すごく気持ち悪くなってしまったと言っていました。もう少し年齢が上の子だったら親からうまく隠れられたのかもしれません。
――保健師さんに電話で相談する場面では、そんなYさんのつらさがすごく伝わってきました。
加藤:Yさんが電話をしたのが受付時間ギリギリだったそうで、終業間近なバタバタ感の中で片手間に聞かれている感じがあったみたいです。保健師さんにマニュアル通りのことを言われて、「私が聞いてほしいのはそういうことじゃないんです」と心の叫びが出たと言っていました。
――必死に訴えたことで、やっと求めていたアドバイスを受けることができましたね。
加藤:Yさんが子育て相談の保健師さんから受けた「自慰をしているのを見つけたら抱きしめるようにしてね」というアドバイスが大きかったと思います。それからYさんは、できるだけAちゃんが触り始める前に寂しさを解消してあげたいと考えました。Aちゃんに「寂しくなったら抱っこさせてね」と声を掛けるようにしたそうです。
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「こんな小さな子が…」4歳娘の“自慰行為”に苦しんだ母親を描く。作者を取材<漫画>
<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。