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杉野遥亮の演技にいちいち感動。『ユニコーンに乗って』でみせた新たなフェーズ

軽やかな禁じ手を使った功

 ところで、気になるのは、「社内恋愛禁止」が掲げられているオフィスで、佐奈と功の関係性に変化はあるのかである。スタートアップ企業としてさらなる躍進を目指し、恋愛どころではない佐奈に対して、功は彼女への気持ちを胸のうちで募らせていく。小鳥の入社以来、佐奈が小鳥のことを好きなのではないかという疑念に功はやきもきする毎日だった。  第3話の回想パートでは、起業前の佐奈と功が、学生ビジネスコンテストの本番前夜、ソファでキス寸前まで進展していた様子が描かれた。キスは未遂に終り、自分たちの関係性はあくまでビジネスパートナーだと、佐奈は言う。そこまできっぱり言われた功は、30歳まで彼女を作らないと固く誓ったのである。ビールを飲み過ぎて眠ってしまった佐奈をみて、抱きしめるか一瞬躊躇した功が、独り言のように寝ている彼女に30歳までのロマンスをとうとうと語る場面は、俳優・杉野遥亮の真骨頂だった。  それからというもの、功はさり気ない優しさで佐奈を包み込み続ける。それが、企業後初参戦のビジネスコンテストによってついに実を結ぶというか、好きな人にはじめて好きと言うことができた第5話のラストにはしびれた。杉野君、功の積年の想いを何ともさりげない告白場面に仕上げってしまったのだから。オフィスに恋愛は禁止? いやいや、オフィスだからこそ結ばれるパートナーシップがいかに発展するのかを見守るほうが、健康的ではないだろうか?  恋する気持ちにルールはない。軽やかな禁じ手使った功の次なる技あり場面に期待したい。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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