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宇垣美里「地獄味あふれる現実がぐりぐりと心をえぐり…」/映画『マイ・ブロークン・マリコ』

ハードボイルドで鮮烈なシスターフッド映画に爽快感

 シイノを演じる永野芽郁の体当たりなタフさや、マリコ役の奈緒の繊細で危なげなゆらぎはもちろんのこと、マリコの義母を演じる吉田羊の溢れる慈愛や、旅先でシイノに手を差し伸べる窪田正孝の誠実さなど、キャスト陣の地に足の着いた存在感が物語にさらに深みを増す。  原作マンガの持つ疾走感そのままに、ハードボイルドで鮮烈なシスターフッド映画となっており、悲しい話であるはずなのに観賞後には不思議と爽快感すら感じた。

救えなかった自分を抱え、忘れる恐怖に怯えながら、私たちの日常は続く

「もういない人に会うには、自分が生きているしかない」。  そう、生きている者にできることは、ただ生きて思い出すことだけ。残された者のやるせなさや後悔が、尽きる日などきっと来ない。  救えなかった自分を抱え、忘れる恐怖に怯えながら、私たちの日常は続く。だから、生きて、生きて、一抜けしちまったあんたへの愚痴を言い続けよう。私たちはきっと、大丈夫。 マイ・ブロークン・マリコ』 監督/タナダユキ 原作/平庫ワカ 脚本/タナダユキ、向井康介 出演/永野芽郁、奈緒、窪田正孝、尾美としのり、吉田羊 配給/ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA ©2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会 【他の記事を読む】⇒シリーズ「宇垣美里の沼落ちシネマ」の一覧はこちらへどうぞ <文/宇垣美里> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
宇垣美里
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
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