「ちむどんどん」三浦大知の主題歌がガチでいい曲過ぎて浮いているワケ
誠実さが投影されたような曲がドラマのトーンと噛み合っていない
「燦燦」は三浦大知という人の誠実さが投影されたような曲です。字句のひとつひとつを丁寧に発音し、ボーカルメロディは二度の転調を経て着実にクライマックスへ向かっていく。 <響いて この歌 あなたは 降り注ぐ順光線 続く空に踊る光 「大丈夫 ほら 見ていて」> このフレーズとメロディに皮肉めいた仕掛けはありません。歌詞そのままの真っ直ぐな思いであり、その道徳的な正しさを素直なハーモニーが下支えしている。中高生に合唱させたい曲ナンバーワン。そういう曲なのです。 しかし、これがどうにもドラマのトーンと噛み合っていないから困ってしまうわけです。寿司屋だと思って入ったらカレーが出てきた、みたいな。 そこに詰めの甘さを感じたのですね。プロットや演出の意図と音楽のトーンが致命的に食い違っている。そのズレがユーモラスな質感を与えるわけでもなく、「燦燦」のマジメさが宙ぶらりんになっているのみ。 “じゃあ「借金大王」(ウルフルズ)みたいな曲だったらいいのか”と言われると、それもフィットする絵が浮かんでこない。そこまでわかりやすいバタバタ要素もなかったからです。
脚本家&制作陣が共有のイメージができていないのが原因か

『連続テレビ小説 ちむどんどん Part1(1)(NHKドラマ・ガイド)ムック』(NHK出版)
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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