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りゅうちぇるの離婚に批判が集まるワケ。“らしさ”の押し付けに嘆くLGBTQ当事者たちの声

周囲から“理想の結婚像”を押し付けられ…

 山田さんは自身のあり方を理解してくれる現在のパートナーと出会い、結婚しました。しかし、2人が幸せに結婚生活を送っていても、周囲からの批判に悩まされたそうです。 「籍を入れるとき、相手の姓ではなく私の姓を選択しました。パートナーはどちらでもよい考えをもっていたのですが、相手のお父さんが『苗字に合わせて名前を考えたから、息子の苗字を変えさせるわけにはいかない』と言い、大反対したのです。  パートナーには妹がいるので、私は『娘さんが結婚して苗字が変わったらどう思うんですか?』と質問したら、『あの子は嫁に出ると思っているから問題ではない』と答えました。結局男だから苗字を変えないで、女なら名前の画数や文字数関係なく変えてもいいという考えなんだと思いましたね」  結婚というあり方が一緒くたに語られることで、さまざまな人たちの生きづらさにつながっています。パートナー間で解決していても、世間の概念から外れることで批判の目に晒される可能性があるのです。 「その後、パートナーの父親からパートナーに『あんな極端な人間とは結婚しないで、普通の人を見つけてこい』とのメッセージが送られてきました。私たち2人で解決していることなのに、親からの介入があったり、男女の役割を押し付けられたり、結婚というものの敷居の高さを感じました。  おそらくですが、ryuchellさんも私たちが経験したように、世の中は結婚を“パートナーシップ”ではなく、“家族単位のもの(親族全体を巻き込むこと、ひいては両家の合意のうえでするもの)”と認識していることを感じてしまったのかなと思います。2人がしっかりコミュニケーションをとって、お互いのベストな選択を見つけたなら、本来ならばそれに対して第三者が介入する必要はないと思うのですが……」

「男性でいなければならない」という思い

Kotetsu(25歳)

Kotetsu(25歳)

 男性、女性どちらにも属さない「ノンバイナリー」を自認するKotetsuさん(25歳)。自身のアイデンティティが形成されるまでの経験を聞かせてくれました。 「もともと服装やメイクは性別を意識するより、自分の気分で好きなように選んでいました。当時はノンバイナリーという言葉を知らなかったですし、体に対する違和感もなかったので、『男性か女性どちらか選ばなければいけないなら男性だ』と思っていました」  ノンバイナリーという言葉と出会うことで自身の性に気づいたKotetsuさん。さらに生きづらさを感じていたと語ります。 「自分の性のあり方を知ることでスッキリしたのですが、生きづらさを感じることのほうが多いです。社会のシステムや公共デザインは男女のためにつくられていることが大半で、そこに当てはまらないことで常に不安を感じます。自分のアイデンティティを見つけることができたのに、より生きづらさを感じる社会に放り投げられた感覚が強いです」 「夫」「男性」として求められることに苦痛を感じていたryuchellと同様、Kotetsuさんも周りが理想とする男性像に合わせようとした経験があるそうです。 「僕は恋愛対象が男性なのですが、ゲイ男性として見られることに違和感を抱えていました。と同時に、男性でいなければならないとも感じていました。多くのゲイ男性は性自認(自分の性別をどのように考えているか)が男性である人を求めているので、例えばマッチングアプリでプロフィールにノンバイナリーだと示すだけで、その人の選択肢から排除されてしまうんです。  そのことを知っていたので、好きな人には男性として接しようとしたこともあるのですが、その人が求める男性像を演じることが徐々につらくなってしまいました」
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“理想の夫像”の前提にあるネガティブな側面
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