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「“当たり前”を変えないと変化は生まれない」働くすべての人に贈りたい考え方とは

今どきの職人集団の姿は頑固一徹ではなく、臨機応変。

職場 同時に女性社員の育成にも力を入れ、テレワークも導入。自宅で育児をしながら新規顧客の開拓や既存顧客へのフォローアップに勤しむ、「めっき工場」の響きからは想像もつかない先進的な職場へと変貌を遂げました。  早速、その成果も出始めており、2020年には静岡県外の新規顧客が2倍近くに増加。新規顧客とのファーストコンタクトも、2012年時点では展示会と紹介が50%以上を占めていたものが、2020年にはWebが74%と数字からも大きな変化が見て取れます。  社長の山岸洋一さんはこう言います。 「特に製造業の世界では、残業もいとわない昭和的な男性を理想の社員とする習慣が根強く残っています。だから、入社1年目の社員の仕事はここまでといった職人気質な呪縛にとらわれてしまうことが多々あった。  ですが、働き方の柔軟性という点では、家事や育児といった多くの制約の中で課題を解決して成果を出そうとする女性の方が長けています。彼女たちの働き方は企業にも大きな恩恵をもたらします。それを生かすには、自由に発言できるコミュニケーションの場が求められる。頑固一徹ではなく、臨機応変。それが今どきの職人集団の姿なのです」

「生産性を上げろ」と言うなら

 三光製作株式会社と同じように、既存の職種の働き方や役割を変化させ、新たな勝ちパターンが生まれてきた企業はたくさんあります。  総務部門や人事部門の担当者の役割を少し広げて、コミュニティビルダーやコミュニティマネジャーといった組織活性化を任せた結果、これまで内向きだった社員のマインドが外向きになり、社外との交流の場を積極的に仕掛けるようになった。そのようなケースも、私は最近、数多く見聞きしています。 「生産性を上げろ」と言うなら、その前に古臭い職場の思い込みや慣習、同調圧力を取り払ってから。男性正社員中心の組織体制そのままに、女性や非正規社員に数字を求められても、そもそも「無理ゲー」に他ならず、責任を感じる必要はありません。 <文/沢渡あまね>
沢渡あまね
1975年生まれ。作家/ワークスタイル&組織開発専門家。 あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/浜松ワークスタイルLab所長/国内大手企業人事部門顧問ほか。『組織変革Lab』主宰、DX白書2023有識者委員など。 日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。著書に累計25万部の『問題地図』シリーズ(『職場の問題地図』『仕事の問題地図』『働き方の問題地図』など、いずれも技術評論社)をはじめ、『新時代を生き抜く越境思考』(同社)、『職場の科学』(文藝春秋)、『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)など多数
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