性格も三人三様。楽天家でおおらかな栞さん、知的でクールな沙苗さん、温和で穏やかな晴子さん。ひとりが提案し、ひとりが賛同し、ひとりが発展させる、小さな出来事でも3人よれば楽しさが何倍にも膨れあげるのです。
眠れない夜は3人で花札をし、雨の日は3人で純喫茶ごっこ。ていねいに淹れたコーヒーを堪能したり、手作りのホットケーキでおもてなしをしてみたり。人生の酸いも甘いも知り尽くしたマダムたちですが、心はいつまでも乙女。「もう歳だから」なんて言葉は、3人には通用しません。きれいな服もごちそうも、全部自分のためなのです。
私が特に好きなのが、マニキュアに躊躇する晴子さんに放った栞さんのひとこと。手のシミや荒れを気にしてマニキュアを拒む晴子さんですが、晴子さんの気持ちを見抜いた栞さんはこう言います。「晴子の手はとっても素敵だけど、本当は素敵とか素敵じゃないとか気にしなくていいと思うの。やりたかったらやりゃあいいのよ。じゃないと動けなくなっちゃうわ」。

仕事で散々だった沙苗さんの行動も、共感を通りこして泣けてきます。疲労困憊の沙苗さんがスイーツを買って帰るのですが、それは自分が食べたいのではなく、スイーツをおいしそうに食べる栞さんと晴子さんが見たいから。ふたりの顔を見るだけで、自分が元気になるってわかるんですね。いろいろあってスイーツは食べられなくなるのですが、落ち込む沙苗さんに栞さんと晴子さんがとった行動は…。これまた笑いを通りこして泣けてくるのです。
歳を重ねることへネガティブなイメージを抱く人もいますし、不安に苛まれる人もいるでしょう。でも本書を読めば勇気と希望が持てるのです。アラフィフの私もあと少しでマダムな年齢、大切な女友達と育む生活を夢みて、今日を頑張ろうと思いました。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx