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宗教2世当事者のマンガ家が語る「生き方を強要されるつらさ」

当事者じゃない人には、想像してほしい

――文藝春秋さんでは、この作品を刊行するにあたって、何か苦労はありましたでしょうか? 担当編集:いえ、うちは余裕でした(笑)。むしろ「なんでこんないい作品を本にしないんだろう?」って。 ――さすが文春!(笑) これから読む方に、メッセージがあれば。 菊池:本は売れて欲しいけど、それとは反対のことを言ってしまうんですが、まず自分が宗教2世の方は、読むのがつらかったら無理して読まないでください。自分の調子がいい時に、タイミング見計らって読んでいただければ。当事者の方でこの本を読める方には、苦しんでるのは1人じゃないよって伝えたいです。 当事者じゃない人には、勧誘の人が連れてくる子供にはこういう苦しみがあるかもしれないし、もし自分の友達がこういう状況で生まれ育っていたらってことを想像してほしいなと思います。自分の大事な人が実はこういう環境だったらと考えたら、多分みんな思いやりを持てるんじゃないかと。 菊池真理子さん========== 宗教2世という言葉が注目される以前から、「もちろんそれに幸せを見出し信仰を継承する人たちもいるけれど、なかには成長するにつれ、苦しみを感じる子どもたちもいるのです」と訴え続けてきた菊池さん。 宗教団体からクレームが来た時も、作品が公開中止となった時も、そして元首相銃撃事件が起きた時も、宗教2世として誠実に向き合った彼女の作品が、今多くの人に読まれ、支持されていることは非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。 長い間かき消されてきた宗教2世たちの切実な声が込められた一冊。実は身近にいる彼らのことを思い、向き合うきっかけになるはずです。 <文/藍川じゅん 写真/深野未季(文藝春秋)>
藍川じゅん
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。
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