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“高級食パン専門店“がじわじわ閉店…。失敗する3つの理由と、愛されるパンの条件/2022人気記事BEST5

愛されるベーカリーは他にも

「小麦の奴隷」福井森田店 ※エスダムスメディアのプレスリリースより

「小麦の奴隷」福井森田店 ※エスダムスメディアのプレスリリースより

トリュフベーカリー」も好事例のひとつ。ヨーロッパの専門食材を扱う事業を基盤とした商品づくりが強みで、商品数も店舗数も着実に増やしています。食卓パンに“トリュフ”を加えて焼き上げた「白トリュフの塩パン」は自社の強みであう特選食材を活用した名作です。  他にも、地方活性型のFCベーカリー「小麦の奴隷」は全国展開が進み、新食感のザクザクカレーパンを看板商品として、初心者でも参入しやすいビジネス基盤が確立しています。つまり、単においしいだけではなく、ビジネスの継続性や戦略まで構築されているケースが実証されています。

ブランドイメージだけで消費者はついてこない

 食パンという1ジャンル、かつブランドイメージのような直感的要素だけで消費者はついてこないということ。  消費者のニーズや好みは変わっていくものですし、そこには多様性も存在しますから、それらをふまえた商品作りや価格設定を、冷静なビジネス視点で戦略的に考える必要があるでしょう。  また、パン作りの確かな技術が活用されていること(熟練された職人が必ずしもいなくてよく、それに代わるようなテクノロジーがあればOK)やホスピタリティも重要。予約をしないと購入できないような、お客に手間や無理を強いる場合は、それ以上の満足度で期待に答える必要が出てくるということも忘れてはなりません。  消費者のニーズを丁寧に捉えて、さまざまな試行錯誤や進化をしているベーカリーは、すぐに閉店に追い込まれてしまうことはないはずです。  これからも素晴らしい名店が登場することを楽しみつつ、素直にパンへの愛情を深めていければなと、消費者の立場としても強く願っています。 <文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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