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「虐待を受けた記憶がよみがえるのは、我が子に優しくしているとき」“連鎖”を断ち切れたワケを作者に聞いた<漫画>

虐待された過去を言いわけにしない

――虐待されて育った人は「自分を虐待した親の血が流れている」「自分も親と同じではないか」と悩むことがあると聞きます。あらいさんはどうやって悩みを解消していったのでしょうか? あらい:私はずっと「私がこうなったのは親のせいだから仕方ないんだ」と親を言い訳に使っていました。だから親のことがなかなか手放せなかったんだと思います。でもそれだと、どんどん親と自分を同一視するようになって負のループにはまるようになりました。なので、親を言い訳に使わないことで自分と親をを切り離していきました。 ――虐待した親への恨みを捨てるのはとても難しいことだと思うのですが、なぜそれができたのだと思いますか? あらい:親に対して「謝ってほしい」という気持ちはありました。でも「親が謝ってくれたら自分は変われるのか?」と考えると、変わらないと思いました。「父が死んだらラクになれる」と思っていた時期もありましたが、結局ツラいままでした。外的要因では何も変わらない、すべては自分の中にあるんです。私は「今すぐ変わりたい」と思ったので、親に私の悲しみや怒りを全て理解してもらう、という幻想に期待するのはやめて自分と向き合うことにしました。 ――「虐待の連鎖」と言われますが、どうやって断ち切ればいいのでしょうか? あらい:「育てられたようにしか育てられない」という考えは捨てて、子育てで失敗があっても「じゃあどうしたらいいのか?」と考えることができれば、次の段階に行けると思っています。  それを実感したのは、子どもを保育園に通わせ始めたときのことでした。私は初め、「変な母親だと指摘されたらどうしよう。最悪、子どもと引き離されるんじゃないか」と思ってすごく不安だったんです。でもすぐに「自分がもし暴力的だったとしたら、それが明るみに出た方が子どものためになる」と気づきました。  それからは「何を言われてもいいやから、どうしたらいいか一緒に考えてほしい!」と思い、ささいなことでも保育士さんや小児科の先生にオープンに相談するようになりました。家族の問題に対し、常に「じゃあどうしたらいいのか?」という疑問を続けたことが連鎖を抜け出す糸口になったと思います。 <取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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