
SNS上では、平良と清居に対して“ひらきよ”というコンビ名まで付いて広く愛されている。このコンビの関係性を考えていると、どんどんクセになってくるし、ふたりのことを考えれば考えるほどもう頭がいっぱいになる。
ひらきよの関係性、基本的には主人と奴隷のような上下関係がはっきりしている。「きも」、「うざ」、「はぁ~?」を口癖にいつも粗野に振る舞う清居だが、ふとした拍子にツンデレ的な可愛さがのぞく。するとこの上下関係が一瞬だけ入れ替わるような瞬間がある。
平良ばかり視線を注いでいるかに見えて、よくよく見ると清居は必ず平良のことを見ている。吃音症の平良がどぎまぎしてクラス全員の注目をあびるとき、うしろの席に座る清居はちゃんと視線を送っている。クラス替えの場面でも清居ははっきりと平良のことを見ていた。「見る=見られる」は逆からでもあるのだ。
清居は平良を見ている自分を恥じるように視線をぴゅっとすぐに外す。いけずな人だなぁ~と思う。でも、正直になれない清居の性格が、この愛すべきひらきよコンビの関係性をより刺激的にしていることに思い至れば仕方なしか。

平良は清居のことを「特別な人」というが、付き合いたいと思っているわけではない。彼にとっての清居は「キング」であり、自分が気軽に近づけるような存在ではないからだ。一方の清居は不覚にもあるときから平良と付き合いたいとさえ思っている。恋愛的な意味での好きが強いのはむしろ清居の方なのだ。ほんとうに乙女な清居……。
好きだけれど、好きなんて絶対に言えないプライドがありながら、でもやっぱり平良が好き。この微妙で絶妙な好きを八木勇征が繊細に表現する。八木君だからこその清居の佇まいと可愛さが込められながら、彼はこの好きを具体的にどう表現したか。
清居は、平良を見ていた視線をすぐに外すが、その代わり彼は口元をすこし頼りない感じで動かす。いたずらっぽくて、すこし悪ガキな感じがする微動。この微動、八木君はきっとこの仕草によって自分がどれだけ可愛く映るかがわかって演技をしていると思う。あざと可愛い、でも自然体なのが、やっぱりいけずだな。