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天下の“田中圭スマイル”が秘めるものとは?『リバーサルオーケストラ』が描く楽団の世界

 田中圭と門脇麦がデコボコ・オーケストラコンビを演じる『リバーサルオーケストラ』が日本テレビ系で毎週水曜日よる10時から放送されている。 リバーサルオーケストラ 今や国民的人気を得ている田中圭だが、本作で演じる常葉朝陽役もまたこれまで以上に彼の魅力を余すところなく引き出している。クラシック音楽のオーケストラを題材に、世界的な指揮者をどう演じきるのか。  クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、「イケメンと映画」について考察を続ける筆者・加賀谷健が、クラシックの世界でも申し分ない存在感を発揮する田中圭の演技力を深掘りする。

指揮者として申し分ない最強の俳優

 田中圭は常に最強の俳優である。つくづくそう思う。彼はどんな作風の作品でも持ち前の人柄がにじむ人間くさい雰囲気で画面を躍動して、たちどころに見る者を魅了してくれる。仮に人間くささがにじみづらい難役だったとしても、どんとこいである。  今回の『リバーサルオーケストラ』で演じるオーケストラの指揮者・常葉朝陽役は間違いなく難役だが、第1話冒頭から指揮台に立つ姿が様になっているばかりか、指揮を振り終わる瞬間に輝く瞳に宿る眼力が「マエストロ」と呼ばれるにふさわしい佇まいを醸し出している。  服装にしても、公演中の燕尾服はエレガントだし、普段着の白や黒のタートルネックはダンディな萌え袖ならぬ萌首で、やっぱり最強な俳優です。

愛すべき若きマエストロに寄せる期待

 ところが急遽ドイツから帰国した若きマエストロを待ち受けていたのは、まとまりなんて微塵もないプロオケなのに素人同然のオーケストラだった。  西さいたま市唯一のプロ・オーケストラである「児玉交響楽団」(以下、玉響)は団員の意識の低さが音色にもろに出ていて、せっかく盛り上がるはずの「ラデツキー行進曲」(ニューイヤーコンサートなどでは客席が一丸となって手拍子する)も演奏がばらっばら。常任指揮者が演奏途中で指揮を投げ出してしまうほど。  なによりコンマス(コンサートマスター)が悪い。第1ヴァイオリン主席であるコンマスは指揮者に次ぐ地位で、楽団全体をまとめる役目の最重要ポジション。指揮者に代わって団員をまとめる必要もある大変な役回りだ。  筆者は普段、クラシック音楽を専門とする音楽プロダクションで企画プロデュースをしているが、世界的なコンマスの威厳あふれる神々しい現場は日頃から目にしているからよくわかる。コンマスがこの様子だと玉響にどんな有名指揮者が入ってきても形になるかどうか。でもここはひとまず田中圭扮する愛すべき若きマエストロに淡き期待を寄せてみたいと思うのだ。
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古典音楽の威厳を体現する田中圭
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