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早口でもカッコいい町田啓太。NHK『漫画家イエナガ』で魅せる“イヤミのない品の良さ”とは

ビジネスパーソンにとっての最良のロールモデル

 町田啓太ファンにはたまらないキャラクター設定の番組だといえるが、別に町田ファンでなくとも、ビジネスパーソンには必見の番組。2022年からはNHKが押し進める「若年層ターゲットゾーン」番組としてレギュラー化。つまり視聴者の対象が若いビジネスパーソンになったということ。  単に町田啓太推しの筆者からしたら、イエナガの折り目正しい佇まいが良きビジネスパーソンを目指す上での最良のロールモデルにすらなり得ると思うのだが、どうだろう。  というのもこれまで町田啓太が演じてきたキャラクター像に目を向けてみると、たとえば『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系、2020年・以下、『チェリまほ』)の黒沢優一や『SUPER RICH』(フジテレビ系、2021年)の宮村空を思い出せば、デキるビジネスマン像に納得がいく。  ビジネスを語る上でもイエナガ的な佇まい、黒沢的、宮村な折り目正しさは、ビジネスパーソンの前提として心得るべきことじゃないだろうか。

俳優としてもユニークな町田啓太

 一方でイエナガのキャラクターがユニークなのは、ただただデキる男であるわけではないところ。彼は何せ売れない漫画家。できるのに売れないという矛盾が彼をユニークにする。最新放送回「社会を変える超頭脳データサイエンティストって?」では、結局描いてきた漫画はもちろん採用されず、イエナガは思わずお茶目な表情をしたりする。  こういうお茶目な瞬間を見ると、町田啓太の演技にはものすごい振り幅があるなと思う。ひとつは元気はつらつで無鉄砲なキャラクターを演じるとき。もうひとつは相手への細やかな心配りを徹底する超誠実キャラを演じるとき。どちらもあの爽やかなハニカム町田印の笑顔が共通している。  最近のわかりやすいところで、Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス』(2020年~)の金髪チャラ男と『チェリまほ』の黒沢を比べてみると、役柄にはかなり大きな開きがあるが、どちらも町田啓太らしい、町田くんにしか出すことのできない色がある。 『漫画家イエナガ』でも町田啓太は、教養バラエティ番組なのにむしろ演技を極めてくる。彼は俳優としてもユニークな人である。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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