阿川佐和子(69歳)が「もう泣いちゃう」と思った鈴木亮平の“一言”/映画『エゴイスト』インタビュー
作家・エッセイスト、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』などテレビでも活躍する阿川佐和子さん(69歳)。最近は俳優としても注目を集めています。
俳優としては2000年に『カラフル』の母親役で映画初出演。2019年のドラマ『セミオトコ』、『あなたのそばで明日が笑う』(2021)『半径5メートル 第7話』(2021)、映画では『HOMESTAY』(2022)、そして公開中の『エゴイスト』では、主人公の人生観に影響を与えるキーパーソンともういうべき人物を、ナチュラルにして圧倒的な存在感で演じています。
年齢を重ねても第一線で輝き続けている阿川さんに現況を聞きました。
――『エゴイスト』はドキュメンタリータッチの撮影方法なので、とてもリアリティーがある作品でした。
阿川佐和子(以下、阿川):監督がカメラ一台でドキュメンタリータッチで撮るとおっしゃったので、わたしのような演技の経験が浅い人間にとっては助かった気がします。本当の自分の家の台所のようにたたずみ、息子の大事な友だちが来ちゃって「麦茶出さなきゃ」とか、本気でオタオタしてました(笑)。それを一台のカメラが追いかけてくれる。監督もきっちり台詞を言うことより、役どころの気持ちを大切にしてくださったので。魅力的な撮り方をする監督だなぁと思いました。
――今作では宮沢氷魚さん演じる龍太の母親・妙子役でしたが、撮影現場はいかがでしたか?
阿川:難しかったけど、楽しかったです。用意されるお惣菜も美味しくてね。「出汁は何ですか?」なんて、あとで小道具係の人に聞いたりして(笑)。とにかくスタッフひとりひとりが素晴らしかったんです。カメラの池田(直矢)さんも、多分ものすごく肩がこっていらしたと思うけど。一台でしたから。
――そして主演の鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、おふたりのナチュラルな表現力も見事でしたね。
阿川:鈴木さんには以前、朝ドラに出演された少しあとに、彼の映画の宣伝でわたしがインタビューをしたことがあるのですが、その時も思ったけど、今回の映画でお会いした時もストイックな方でした。ワンシーンごとに監督やスタッフときめ細かく相談していらしたぐらい。わたしとは最初は電話だけのシーンでしたが、「阿川さん、よかったですよ」と。「そんなフォローまでしてくださるのか、もう泣いちゃう」と思いました(笑)。
宮沢さんとは撮影に入る前にエチュード(即興劇)をしまして、それが何なのかわたしには分からない状態でしたが、とても助けていただきました。かわいくてきれいで、素直で感じがいいわで、ラファエロが描く天使みたいな人なんです。
――本作はタイトルについて考える作品だとも思いますが、阿川さんご自身ではどう受け止めていますか?
阿川:この映画のいうエゴイスト、最初は何をもってそうなのだろうと悩みました。出てくる人、みんなそんなにわがままなのだろうかと。撮りながらもずっと考えていました。ただそれは、映画を観た方それぞれが、今の自分の人生や思いと重ねながら、答えを探ってくださることが一番いいと思うんです。出た人間の解釈に合わせるより、映画を観た方それぞれが決めることのように思います。

『エゴイスト』監督は「魅力的な撮り方をする」
鈴木亮平、宮沢氷魚の印象は

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