動物について調べるのは、小さいころの未練があるのかも
――ジョウロのエピソードが、現実の厳しさをダイレクトに伝えます。
園田「ジョウロの話は、結構よくあることみたいですね。今は蓋のパーツが外れるジョウロが多くて、そこだけネックレスみたいにひっかかったままになる子もいます」
――ちなみに、園田さんは以前住んでいたところでも野良猫たちの様子をよく見ていたようですが、いろんなことを観察したり、調べたりといったことが、昔から好きなんでしょうか。
園田「そうですね。オタクです。それと好きに加えて、小さい頃の未練みたいなものも手伝っているのかもしれません。自分の世代って動物愛護の意識がまだ薄かったんです。気持ちはあっても、親世代も学校の先生も、正しい飼育の方法を分かっていなかった。インターネットもそんなに普及していないので、簡単に調べられもしないし。なので、『ちゃんとした飼い方をしていたら、もっと長生きさせられたかもしれないのに』とか、『もっとこうしたかった』といった気持ちがどこかにあるのかなと」
――本作にも外飼いの犬が登場しますが、愛情がないというより、知識がないが故の結果という感じでした。
園田「すごい虐待犯とか悪意がある人というのも確かにいて問題ですが、悪意なしに、なんとなくやばいことをしている人のほうが絶対的に多いと思うんです。漫画で社会を変えようなんて大それたことは思ってませんが、漫画を読むことによって、『あ、そうなんだ』『こういうこともあるんだ』くらいに思ってもらえたら嬉しいです。『ツレ猫』は、あくまでもエンタメ作品なので」
明日公開予定の<後編>では、第3巻の内容や、現在の保護猫ブームに思うこと、園田先生おススメの猫漫画などについて聞きます。
<取材・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi