
しかし、数回Kさんとデートを繰り返した頃、理沙子さんの中では拭い去れない疑念が芽生えていました。共に過ごす時間は非常に楽しかったのですが、ところどころ彼の発言は矛盾が生じるのです。
フリーランスなはずなのに「出社」という発言が出たこと、彼女いない歴の年数が途中で変わっていることなど、とにかく挙げたらキリがありません。
最初は「会社に常駐しているタイプのフリーランスかな?」と思って質問をしたところ、彼は明らかにバツが悪そうに濁します。
このあたりから理沙子さんは妙な違和感を覚え、Kさんが発した言葉たちを思い返すことに。
すると様々な部分で疑問が湧き上がります。子どもの頃好きだったテレビ番組は明らかに上の年代が観ているもので、出身地の話がとても曖昧。
喋りに地方特有の方言は混ざりませんが、なぜか実家の話になると逃げるような姿勢を見せます。思い返せば濁している部分があまりに多すぎたのです。
「歳の離れた兄弟がいるとは言っていたんですけど、『それにしても観ていたテレビ番組が違い過ぎない?』って感じで。ツッコんだら“地方だから放映が遅れている”と言われたんですけど、納得がいきませんでした。
出身地もこの辺り、とは言うんですけどなんか怪しいんですよね。色々と過去の発言とズレが生じてて、段々と彼に対して『アレ?』と感じることが増えちゃったんです」