磯村勇斗「意外と子どもっぽい一面もありますよ」、30歳の今描く憧れの俳優像は“作れる人”
ゼロから1を作れる俳優になりたい
――磯村さんの発言からは、常に「自分は俳優として(社会のために)何ができるだろう」と考えているのが伝わってきます。
磯村「僕たち俳優は作品の中でしか生きられないので、いかに素敵な作品に出会って、そのなかで、ちゃんとひとりの役として務められるか、しかありません。それがまた結果的に、いい作品へと繋がっていく。それから、俳優はゼロから1は作れない。すでに脚本があって登場人物もいて、1が作られている状態に参加していくものです。でも僕は、ゼロから1を作れる俳優になりたいと思っているんです」
――ゼロから1を作れる俳優に、ですか?
磯村「最近はそちらの意識を持ち始めています。そのためには今の世の中の流れを見る力も必要ですし、もうひとりの自分を横に置いておかなければといけないと思っています。主観的な意見に寄ると偏ってしまうので、きちんと周りの意見を受け入れながら、かつ芯を持つことが必要だと考えているところです」
続ければ続けていくほど、ループが生まれていく
――自分自身に対しても社会に対しても、そうした俯瞰的な目を持つよう心掛けるようになったのは、キャリアを重ねた結果ですか?
磯村「そうですね。のめり込んでしまった時期も、当然ありました。役に入りすぎて、本来の自分が分からなくなってしまったり。それがダメだというわけでもないんですけど、いろんな方から“どこかにちゃんと自分を置いておくことでバランスを取る。そうした俯瞰の目は大事だ”といったことを言われましたし、確かにそうだと実感しました。そのうえで、さらにゼロから1へと、自分で何かを生み出す力も必要な時代になってきた気がしています」
――俳優さんも、ゼロから1を生み出す力、意識を持つことの必要性は、確かに時代的に大きくなってきているかもしれません。
磯村「実際にみんなも動いているし、そうしていかないといけないと思います。それに、今は自分自身の経験や人脈も積み重なっていっている実感もありますね。広がっていっているというか」
――どういうことでしょう?
磯村「俳優の仕事って、ひとつひとつの仕事の単位で考えると、“集まって解散して”になるけれど、続ければ続けて行くほど“また一緒ですね”という人が増えて、ループが生まれていくんです。ゼロから1への意識が生まれてきたのも、こうやって続けてきて、いろんな出会いがあって、いろいろ見てきたからこそだと思います」
――今回の作品も、磯村さんのキャリアが引き寄せた結果でしょうし。
磯村「そうですね。今回はプロデューサーの長谷川(晴彦)さんが『ヤクザと家族 The Family』を観て、呼んでいただいたことが始まりでした。すごく嬉しかったですし、本当にありがたいです」
『渇水』は6月2日より全国公開中
配給:KADOKAWA
配給:KADOKAWA


