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『ペンディングトレイン』脚本家が明かす山田裕貴キャスティング秘話「別の役を想定していた」

 ひとつの車両の中、さっきまで見ず知らずだった乗客たちが、はからずもサバイバル生活を強いられる。
『ペンディングトレイン』より ©︎TBS

『ペンディングトレイン』より ©︎TBS

 毎週金曜日よる10時から放送されている『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系、以下、『ペンディングトレイン』)は、壮大なSFスケール感を誇る。  しかもこれが意外や意外、本作で民放ゴールデンプライム帯(以下、GP帯)連続ドラマ初主演となる山田裕貴の記念すべき作品なのだから、なおさらのこと。カリスマ美容師・萱島直哉役の内面の機微を完璧に理解した山田だからこそ、放たれる台詞には、視聴者の心に深く伝わるものがある。  底知れぬ魅力を秘めたキャラクターを紐解くため、今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、本作の脚本家・金子ありささんに前後編のロングインタビューを行った。  前編では、「人生賭けます」と太鼓判をおす金子さんに、山田裕貴キャスティング秘話を聞く。

「トリプル・チャレンジ」のスケール感

脚本家の金子ありささん

脚本家の金子ありささん

――本作は、TBS「金曜ドラマ」枠で、毎週金曜日よる10時に放送されています。金子さんが同放送枠で脚本を担当するのは、中谷美紀さん主演の『私 結婚できないんじゃくて、しないんです』(2016年)以来です。7年ぶりに脚本を書いてどうでしたか? 金子ありさ(以下、金子):TBSドラマは、放送枠の特性がはっきりしています。今回の製作チームは、『恋はつづくよどこまでも』(2020年)と同じですが、金曜10時に枠を変え宮﨑真佐子プロデューサーの「絶対にこれをやりたいんだ!」という覚悟を感じ、脚本家として大冒険をする気分でした。  と言うのも、今回は山田裕貴さんが民放GP帯の連続ドラマ初主演ですし、加えて大胆な物語設定や挑戦的なキャラクターです。まさにトリプル・チャレンジでした。 ――本作で描かれる未来世界に広がるサバイバル空間は、日本のテレビドラマとしてものすごいスケール感だと思います。この壮大な物語をどのように構想していきましたか? 金子:まずはどこまで実現が可能か考えました。荒廃した未来は、実際にロケをやるのか、あるいはオープンセット(野外の撮影セット)ならどうするのか。現実との兼ね合いです。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014年)のような規模では再現できませんから、車両をセットにした人間ドラマをやろうと考えました。それなら洞窟探検をしたり、地下から秘密基地が発見されずともSF要素のある物語が成立するからです。  あとはそこからの逆算です。会話劇を活かしながら、未来星人や宇宙人と遭遇するわけではない人間ドラマに主軸を置く。しかもほぼオールロケ(野外撮影)に見えるもの。地上波ドラマの壁との戦いですが、宮﨑プロデューサーは腹が座った方なので、これだけの事ができたんだと思います。

“電車モノ”は山田孝之主演の『電車男』以来

――電車が重要な要素になっているのが、山田孝之さん主演の映画『電車男』(2005年)の脚本家ならではの繋がりなのかなと思ったりもしますが。 金子:ほんとうですね。電車モノですね。 ――映画デビュー作から20年近く経って、今再びという(笑)。 金子:これは、定期的に電車シリーズをやっていかなければいけないですね(笑)。しかも主演俳優が、山田孝之さんから山田裕貴さんへ、同じ山田という。次の電車アイディアと山田さんを探したくなってしまいます(笑)。これは、面白いですね。 ――金子さんの作品は、ドラマや映画だけでなく、小説作品も含め、さまざまな類似点がたくさん見つかります。 金子:山田裕貴さんとは、映画『となりの怪物くん』(2018年)でご一緒してますが、まかさその数年後、連続ドラマで巡り合うとは夢にも思わなかったです。 ――そうした巡り合いが生まれるのも、金子ありさ作品なのかなと思います(笑)。 金子:長くやっていると、さまざまなことがあります。ご縁ですね。
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「山田裕貴さんに人生賭けます!」
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