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ドラマ『真夏のシンデレラ』40代にも20代にも響く“ずるい魅力”と、混乱させる“問題点”

若者向け恋愛リアリティショー×古き良きベタ展開

 本作は“月9の恋愛ドラマ”らしくターゲットを若年層に絞っている印象。今の若者は複数人の恋模様が進んでいく様子を、恋愛リアリティショーで見慣れている。“様々な登場人物の恋心を、スピード感を持たせて見せたほうが若者に好まれる”ということを見越しての構成なのではないか。  メインどころがくっつかくっつかないかを10話ほどかけて見せる、という“従来の恋愛ドラマ”ではなく、時代にチャンネルを合わせてアップデートしようという気概が伺えた。
 と同時に、難癖をつけたチンピラに絡まれて守が慰謝料を請求されたり、花火の音に驚いて理沙が海に落ちたりなど、平成を通り越して昭和の香りさえ漂うベタなシーンが少なくないのも本作の大きな特徴である。  特に印象的だったのが、匠が夏海との約束に大遅刻するところ。匠は夏海のいる飲食店に向かっている道中、自転車が壊れて困っている佳奈に遭遇。日が落ちるまで修理をして大遅刻するのだが、「どんだけ修理に手間取るんだよ」と思わずツッコみたくなる部分も月9の恋愛ドラマらしい。新しい要素と古き良き要素のハイブリッドが楽しめそうだ。

推しを見つけて応援することでストーリーが変わる

 本作の一番特筆すべき点は“まだラストが決まっていない”ということだろう。本作の今後は、視聴者の反応や役者の芝居を見ながら決めるらしい。7月2日に実施された同作の制作発表会で、森七菜は「私達の芝居や、見てくださる方々のつぶやきによって、結末が変わると思うと、一挙一動が大事になって来る」と発言した。
 従来通りであれば、現在は匠に惹かれている夏海が徐々に健人を好きになり、匠が9話くらいで「やっぱり夏海が好き」となるも時すでに遅し、夏海と健人が付き合い、匠は“当て馬”として涙を飲む、という未来が濃厚。しかし、視聴者の反応次第では匠を救出できる可能性もある。推しを見つけて応援することによってストーリーが変わる、という仕掛けは斬新。過去の月9の恋愛ドラマを踏襲しつつも、挑戦的なドラマとなっており、注目したくなる。 <文/望月悠木> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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