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女を使った営業はアリかナシか?「笑ってごまかしてきた、あなたたち世代のせいで働きづらい」49歳を責める25歳

女を使った営業を責められ「どうしていいかわからなかった」

さらに女を使った営業を責められた郁子は、「触られるの嫌だったけど、どうしていいかわからなかった」と胸のうちを明かす。嫌だったと言いながら、営業先の社長に美脚を褒められたり肩を抱かれたりしているときの郁子は、ほんの少しうれしそうだった。 女として、たとえ相手がこちらの弱みをついて卑怯な手に打って出てきたとしても、それを逆手にとって営業を完遂する覚悟があるなら、それはそれでいいのではないかと個人的には思う。もちろん、そんな営業がずっと成功するとは思えないが、女を売って仕事を手に入れようともくろむ人がいたとしても決して不思議ではない。 そうやってのし上がっていく女を、決して責める気にはなれない。卓越(たくえつ)したスキルと覚悟をもって男を手玉にとってのし上がっていく女の生き方を誰が糾弾(きゅうだん)できるだろう。

笑ってごまかしてきた、あなたたち世代のせいで私たちが働きづらい

だが、郁子は「どうしていいかわからないから女の色気を売ろうとした」のだ。スキルも覚悟もなかった。それをほのかは糾弾する。 「どうしていいかわからないから笑ってごまかしたんですよね。そうやってあなたたちが笑ってごまかしてきた1分1秒が積もり積もって、女は笑っていればいいという悪しき文化ができたことに気づいてますか。あなたたち世代のせいで、私たちがどんなに働きづらいか」 ほのかの言い分もよくわかる。がんばってきたつもりだったのに、実は単に我慢してごまかしてきた女たちのツケを、今の若い女性たちは払わされているのかもしれない。ほのかは日頃の鬱憤(うっぷん)をすべて郁子にぶつける。
郁子は「私たち世代のがんばりが足りなかった」と謝罪する。現実としては、「がんばりが足りなかった」と片づける問題ではないだろう。社会的な女性の地位が不思議なほど上がらないこの国の構造が諸悪の根源ともいえるが、俯瞰(ふかん)してみれば社会の変化と人間の意識は常にバランスよく進化していくわけでもない。 あれだけ郁子を糾弾していたほのかだが、そのとき惚れた男から連絡が来て狂喜乱舞する。男の連絡を待ち、セカンドに甘んじているほのかの矛盾が浮き彫りになる。 そう、結局、人間は社会で生きる自分とプライベートな自分との間に大きな齟齬(そご)や矛盾のある生き物なのだ。
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