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“女の子らしく”と育てられた娘が、大人になって母親に爆発。「ママはお人形で遊んどるだけ」の哀しい意味は|ドラマ『いちばんすきな花』

母親の過干渉、その経緯も知っているからこそ

 とにもかくにも「好きやけど、嫌いなとこがいっぱいある」というセリフは、親子の距離感の難しさを端的に表現したセリフだった。
木曜劇場『いちばんすきな花』

2話より

 沙夜子自身、幼少期には男兄弟がいたことから男の子と同じように育てられ、夜々には自分のような思いをさせたくないため、女の子らしく夜々を育てたという経緯があった。そのことを夜々は知っており、沙夜子が女の子らしく育てることに悪気がなく、むしろそれが愛情であることを知っている。加えて、虐待されたのであれば沙夜子に100%の嫌悪感を持てるが、虐待は一切なく“毒親”とラベルを貼るにもパンチが弱い

毒親じゃない親を、“嫌い”と思ってもいい

 沙夜子から「女の子らしくしなければいけない」という呪いをかけられたものの、夜々としても“愛情を持って育てられた”という自覚があったはず。また、夜々はゆくえに「多数派の『辛い』はワガママなんですかね」と吐露しており、親から虐げられていない“多数派”である自分が、家族を疎ましく思っていることに後ろめたさを覚えていたのではないか。そして何より、「親を悪く言ってはいけない」という風潮も手伝い、沙夜子に不満を持つことにかなりの躊躇(ためら)いがあったと思う。  だからこそ、沙夜子の嫌いなところを伝えた夜々の勇気に感動した。それと同時に「好きやけど、嫌いなとこがいっぱいある」というセリフを聞き、「親に“嫌い”という感情を抱いてもいいんだ」と心が少し軽くなった。  4人の主人公は“2人組が苦手”ということが共通している。4話では親子という2人組がメインとなったが、次はどのような2人組にスポットライトが当たるのか楽しみだ。 【Amazonで予約受付中!】⇒『いちばんすきな花 シナリオブック 完全版(上)』の詳細はこちら <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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