――今回演じたトワとは、どんな部分がご自身と重なりましたか?
倉「前田弘二監督とは『まともじゃないのは君も一緒』に続いてのお仕事なんですけど、オファーをいただいたときに“これは倉くんだ”といった内容のことを言ってもらったんです。空気感とかの意味だと思うんですけど。脚本を読ませていただいて、大きなことは言えないのですが、でも僕も自分でやるべき役だと感じました」
――というと。
倉「僕も、ある種の生きづらさみたいなものはずっと抱えながら生きてきていて、それを周りから受け止めてもらえない感覚はすごく共感できます。今でもそうですが、特に子どもの頃は、人との距離感や詰め方が分からなかったりして。変だと言われることも多かったですし。だからトワは僕自身だと感じました。園子(芋生)をおびき寄せるために、葉っぱを道に並べていくという、絶妙におかしな行動も、僕はどちらかというとできちゃうタイプだし」
――トワくんは、物語が進むにつれて、ちょっと行きすぎな部分も見えてきます。それでも周囲に温かな人々がいてくれて……。タイトルからはラブストーリーの印象を受けますが、周囲の人々との物語だなと感じました。
倉「川瀬陽太さんの演じた大沢さんとか、宇野祥平さんのシマバラさんとかは、安心できる場所でもあるし、ある種ひとつの逃げ場所でもある。そういった関係性ですよね。シマバラさんの生き方も、いわゆる一般的なものではない。彼自身はメッセージを送っているわけじゃないんだけど、でもメッセージになっている」
――本当ですね。
倉「物語って対立で動かしていくことが結構多いと思うんです。その方が盛り上がるし。でもこの映画は、“否定しない映画”だなと思って。すごくいいなって思いました」