前半(1~4話)は武のモラハラムーブが多く、“復讐”のための布石を打っている印象だった。「前半は『誰が敵で、誰が味方なのか』『この敵をどうやって倒すのか』ということが明確になるように作っています。ただ、
後半では復讐を軸にしつつも、“女性応援”のメッセージも出せる展開を用意しています」という。

Ⓒ「くすぶり女とすん止め女」製作委員会
「ただ、“専業主婦の郁子や万年2番手のほのかがコンプレックスを払しょくして成長する”みたいな、『頑張れば輝ける』という自己啓発的なメッセージは避けました。登場人物が成長を見せて勇気を与える、というよりは、『
角度を変えれば、今いる場所が変われば輝けるかも』という、ある意味“可能性”を提示したいと考えています」
説教臭くせず、自己責任論を押し付けるのでもなく、今のままでも活躍できる場所があるということを提案したいと語った。
説教臭くならないことを意識すると、メッセージ性がぼんやりしてしまうため、「結局、何が言いたいの?」と視聴者に思われかねない。
原口さんは「言い切らない、答えを出さない、ということは決めているのですが、やはり『言い切ってほしい』と思っている視聴者も多いと思います」と頭を抱えるポイントであると口にするが、「『言い切らないからこそ議論が生まれたら面白いのでは?』という意識を持っています。そのため、各話に設けたサブタイトルには『○○より○○って思う人生って、どうよ?』というように、
“○○に入る言葉は何なのか”という議論が起きやすいようにあえて○○をサブタイトルに入れました」と答える。

Ⓒ「くすぶり女とすん止め女」製作委員会
「もちろん、誰も言い切らないとそれはそれで締まりがなくなるため、
MEGUMIさん演じるスナックのチーママがバシッと言い切ることで、作中にアクセントを加えました。ちーママのセリフは全部アドリブで、各話の問いに対して、毎回MEGUMIさんの「答え」を持ってきてもらっていました。
MEGUMIさんがバラエティ番組で、痒い所に手が届くようなコメントをしているシーンを何度も見かけていますよね。今回のドラマでも同じようなことが起こり、思わず頷いてしまう『答え』が届けられたと思っています」