
『光る君へ』(C)NHK
しかし、2人の間には因縁が生まれてしまう。
のちの花山天皇である東宮の漢文指南役という職を得られた為時。ちやははまひろと共に願掛けに行っていた神社へとお礼参りに向かうことに。
この日、三郎と会う約束をしていたまひろの気は急いて仕方がない。約束を守るためにちやはを置いて走り出したまひろは、馬の前に飛び出してしまう。馬に乗っていたのは、三郎の兄・道兼(玉置玲央)だった。まひろを避けた拍子に落馬した道兼。怒る道兼はまひろを蹴飛ばし、それをちやはが制す。まひろにも謝らせ、その場は収まったかのように見えたが、このあと道兼の従者が言った言葉がいけない。ちやはについて「道兼を黙らせるとは肝の据わった女子だ」と言ったのだ。
それを聞き、逆上した道兼は、立ち去ろうとしていたちやはの背中に太刀を突き刺した。
この時点までも、道兼は気性の荒い人物として描かれていた。気に食わないことがあれば三郎を痛めつけ、「身分の低き者を殴って私の心が収まればそれでよろしいと思います」とのたまう。そういった背景があった上でのシーンだからこそ、衝撃が強い。
しかし、この道兼の罪は裁かれるのかというと、なかったことにされる。
まひろは父・為時に人殺しを捕まえてと言うが、道兼は為時の雇い主である兼家の息子だ。ちやはは殺されたのではなく、急病で亡くなったことに。泣き叫ぶまひろの言葉を為時は聞き入れない。この事件はまひろと父の間に溝を作った。
そして、まひろはこの「みちかね」が、川辺で出会った三郎の兄だということも知らない。

『光る君へ』(C)NHK
平安時代というと一瞬、きらびやかな世界を想像してしまう。官能的で美しいオープニング映像にやはり、と思ったのもつかの間、1話だけでもその想像をぶち壊してくる。
仕事を得ようと思ったらお偉い人に取り入らなければならないし、職を守るためには権力者に尻尾を振らなければならない。たとえ、妻が殺されたとしても、だ。弱き者は強き者の犠牲になり、女子は貴族の家に生まれても権力の道具に使われる。
そんな中でまひろはどのようにして「紫式部」となったのか。
第2話は母・ちやはが亡くなって6年後からを描く。
激しい権力闘争が繰り広げられることは必至。きらびやか、と想像していた物語は、思っている以上にハードなものとなるかもしれない。
<文/ふくだりょうこ>
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ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ