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NHK『光る君へ』、“高貴なエキセントリック”が異様にハマる33歳俳優の存在感

「あなたは誰?」

どこか鬱屈としたものを抱えているまひろだが、彼女が唯一夢中となっているの代筆業だ。 好きな女性に贈る歌を代わりに書くというもの。言ってみれば、ラブレターの代筆ということだろうか。男のフリをしてこの仕事に取り組んでいるときは、「まひろ」という自分のことを忘れられているのかもしれない。実にイキイキしていて楽しそうだ。 しかし、手紙の代筆というのは想像力、そして経験がないとなかなか難しいものに思う。 まひろは勉強はできるが、経験という意味ではまだ浅いのだろう。まひろが書いた歌が繰り返し、突き返されるということが起きてしまう。
『光る君へ』第2話(C)NHK

「光る君へ」第2話(C)NHK

そんな中で、まひろは「三郎」(柄本佑)と6年ぶりに再会する。今は成人して道長だ。 あの日、ずっと待っていたのにどうして来なかったのかと問う道長。 あの日は、母が殺された日だ。まひろはあの日のことを思い出したくない、と言うと、道長もそれ以上は問いたださない。 同時に問う。 「まひろ。お前は一体誰なんだ」と。まひろは絵師のところで代筆をしている、楽しい仕事だと言うと、道長は「この世には楽しい女子もいるのか」とぽつり。 「俺のまわりの女子はみな寂しがっている。男はみな、偉くなりたがっている」道長の父・兼家は偉くりたがっている男の筆頭だろう。 そして、姉の詮子(吉田羊)は円融天皇(坂東巳之助)に愛されたがっている。まさか道長の家族がそんな人たちだと知らないまひろは「あなたこそ誰なの?」と問い返す。が、ふたりが話をできる時間はそう長くはない。道長は今度、絵師のところに行く、と言う。毎日はいないというまひろに「会えるまで通う」と道長。 別に口説いているわけではないのだけれど、ふとした一言がグッとくる。ただ、詮子と話している中で「忘れられない人がいる」ようなそぶりがあった。好きかどうかは別にして、まひろのことが心のどこかにあったのは事実だろう。

力を手に入れるために

一方、偉くなりたがっている男・兼家はとんでもないことを企てていた。 現天皇である円融天皇を退かせ、その次の師貞親王(本郷奏多)を早々に退位させたのちに、自分の孫(詮子の息子)を天皇に就かせようと考えていた。 兼家は、詮子に息子を連れて兼家の屋敷に戻るように言う。つまり、息子を人質にして、円融天皇に退位を迫る。 が、円融天皇から距離を置かれている詮子としては、このまま下がるのは負け犬のようで気が進まない。円融天皇は父であると同時に、詮子にとってはただひとりの殿方。その心を取り戻したい、という思いがあった。 現代の常識で考えてみる。 兼家はさらに手を尽くす。道兼(玉置玲央)に、円融天皇の食事に毒を入れるように命令する。命をとるわけではない。弱らせて、退位させることが目的だ。 躊躇する道兼。兼家は6年前に道兼がまひろの母を殺めたことを持ち出す。道兼の過ちを知っており、その事実を隠すために、あのときの従者を殺していてた。道兼のせいで、自分の手も汚れたのだと言う。そんなことを言われてしまったら、道兼に逃げ場はない。 一番恐ろしい男はやはり兼家。 しかし、円融天皇の次の天皇となる師貞親王も只者ではない。師貞親王は為時が漢籍の指南をしていた人物だ。
「光る君へ」第2話(C)NHK

『光る君へ』第2話(C)NHK

1話からそのエキセントリックな様子を見せていた。高貴なエキセントリックを演じたら右に出るものがいるのではないかと思ってしまう本郷奏多だが、その出番が本格化するのも怖いようで楽しみだ。 第3話では、代筆業が父にバレてしまったまひろが、父からある役目を担わされることに。偉くなりたい男たちと寂しがりやの女たちの中へと入っていく。 <文/ふくだりょうこ>
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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