『ブギウギ』愛助さん死す。演じる水上恒司は改名でゼロからリスタート、2年で再起できた理由は?
愛助さん(水上恒司)が亡くなってしまった。朝ドラこと、連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)の話である。
ヒロイン・福来スズ子(趣里)の最愛の人物であり、最大の理解者であった村山愛助が、結核を悪化させてこの世を去った。スズ子との間にできた赤ん坊を残して……。
村山愛助はスズ子よりも9歳下。最初に出会ったときはまだ学生で、スズ子の大ファンであった。次第にふたりは心を通わせて、結婚を考えるまでになる。が、愛助の母トミ(小雪)がふたりの仲をよく思わず、なかなか結婚できないうちに、結核を悪化させて亡くなってしまうのだ。
なんて悲しい。これからロス決定である。ロスの対象は愛助なのか、演者・水上恒司なのか、もはやよくわからないほど喪失感でいっぱいだ。でも、少しだけ嬉しいこともある。愛助の演技によって、“俳優・水上恒司”が全国区でしっかり認知されたであろうから。朝ドラ効果はやはり絶大である。
水上はまた、大ヒット中の映画で、福原遥と共演した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23年/成田洋一監督)でアカデミー賞第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞していることもあって、テレビドラマ界、映画界の両方から注目されている才能の持ち主であることを、この機会に知らしめたといえるだろう。
“水上恒司”という名前に馴染みのない人もいたと思う。名前は知らないが、顔を見たら、知っていたという視聴者も多かったのではないだろうか。
水上恒司は、2022年8月までは岡田健史という名前で俳優活動をしていた。2021年には、NHK の大河ドラマ『青天を衝け』で、主人公(吉沢亮)の妹(藤野涼子)との悲恋の関係となる渋沢平九郎を演じ、その純粋な演技が注目されていたから、記憶に残っている人もいるはずだ。
岡田健史という俳優を最近、見ないなと思っている人もいるのではないだろうか。いや、ちゃんといるのだ、名前を変えて。
水上恒司が岡田健史だった頃、注目されたのは、2018年。有村架純が主演した『中学聖日記』(TBS 系)で、有村演じる教師と禁断の恋に落ちる中学生役で注目された。
ロス決定。対象は愛助なのか、演者・水上恒司なのか

岡田健史から改名
最初は、さすがに中学生と教師の恋はやばすぎると物語に違和感を覚える声もあったが、水上(当時は岡田)のひたむきな演技は印象的で、高校生に成長していく流れで印象が好感度へと大きく傾いていった。 期待の若手俳優として人気を博したが、所属していた事務所を離れるにあたり、名前を芸名の岡田健史から、本名の水上恒司に変更した。
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