県内エリート男子高で“性教育”の名の下セクハラにあった図書館司書46歳女性、教職員カーストで圧された声とは
あるクラスの生徒たちから、環境問題についての資料探しを手伝ってほしいと頼まれたミユキさん。ひとつの机に集まる生徒たちに、「これはどう?」と手渡していく。
「その最中に、彼らの担任である若い男性の先生が入ってきました。学校に届いたアンケートに答えてほしいとのことで、その内容が性教育について。生徒たちは真面目に書き込んでいたのですが、彼が突然『じゃあ、ここから性教育をはじめるぞ』と言い出して。教科書的な内容なら私も気にしなかったでしょうけど、若い先生だからなのか、言葉が露骨というか卑猥というか……」
ミユキさんはここで言葉を切った。聞くに堪えない内容だったのだろう。それを耳に入れる心の準備もできていなかった。耐えきれなくなったミユキさんは図書室を出る。しかし、どこに行けばいいかわからない。学校図書館司書は、職員室に席がなかった。
保健室には、具合の悪い生徒がいるはず……「私の居場所、ないんだ」と立ちすくむミユキさんの前に、たまたま女性教諭が通りがかった。いま起きたことを話すとすぐに、ミユキさんの早退の準備を整えてくれた。
昨今は「包括的性教育」が広く知られるようになった。「身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など幅広いテーマを含む教育」のことで、特に「バウンダリー=人との境界線」や「同意」が重視される。
その男性教諭はバウンダリーを無視し、そこにいる人たちの同意を取ることもなく、性の話をはじめた。それも、適切ではない言葉で。ミユキさんは「いないこと」にされたも同然だし、イヤな気持ちになった生徒がいてもおかしくない。これはセクシュアルハラスメントだ、とミユキさんは認識した。
ストレスからの突発性難聴を発症したミユキさんは、このことを学校に訴えた。
「管理職と話をしたときに『だって、それは性教育だったんでしょう?』といわれました。聞いていると、私が悪かったんだという気持ちになってくるんですよね。現場で録音もしなかった私はバカだったな、とか」
それは「性教育」ではなかった

「私が悪かったんだ」
