木村多江(52)が明かす「生きる意味がわからなくなった」過去。きっかけは父の死
父の死を乗り越えられなかった10年間。そして…
――いつからそのように考えるようになったのですか?
木村:30歳前半くらいの時、わたしは父の死を10年近く乗り越えられず、自分の生きている意味みたいなものが、どうしても分からなくなってしまっていたんです。そこを乗り越えるのに、いかにみなさんに支えていただいてきたか。だからわたしはこうして生きてこられたし、頑張ってなんとか仕事をしてこられたんだなと思ったら、やっぱりそこは恩返しをしていく、今度は反対の立場になっていきたいと思うんです。
あとは『ぐるりのこと。』という映画の時に、リリーさんが演じたカナオという人が、わたしが演じる翔子をずっと支えてくれていて、人に手を差し伸べられることは素敵だなと思ったんです。手を差し伸べるって、ちょっと上からのような感じになっちゃうけれど、誰かが手を繋ぎたい、助けてと言っている時に、それまではどうせ手を離されるんだったら掴まないほうがいいと思っていた。
誰かと仲良くなるにしても、この人もいつか手を離すかもしれないと不安になってしまい、だったら仲良くならないほうがいいって言って、すべてにバリアを張って生きてきたんですよね。
でも、離されちゃってもいいじゃないかって。いつでも困った時に手を差し伸べられる人間になりたいな、カナオみたいな人になりたいなって思いました。あの映画以降、そういう風に思えるようになったような気がします。
――そしてまた時を経て、リリーさんと再共演という形で、その命題を実践するかのような作品に携われたということは、本当に素敵なことですね。
木村:そうなんです。この映画を通して、何かそういう人の絆みたいなものも感じていただけたらうれしいです。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
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