――性的同意というと1つずつ確認しなきゃいけないと思う人も多いのではないでしょうか。
性的同意という言葉を初めて聞くと「自分が知ってるやつじゃない……」と思い、ますます関わりたくないと感じることもあるかもしれません。
もちろん性的同意が必要だと考えている人の中には、言葉を大切にする人もいますが、実際の現場では100%言葉で同意を取るのは難しい場合もあるため、そういった時には非言語的なコミュニケーションも必要だと思います。
――非言語のシチュエーションを教えてください。
例えば、バーやクラブで気になる人がいた時です。相手と目が合うかどうか、相手の態度はどうかなど、意思を尊重したうえで声をかけるべきだと思います。
ただ、その人のパーソナルスペースをガン無視して一気に距離を詰めるのは、半ばハラスメントになることもあります。理論ではなく、対個人として、そして相手を尊重した上でどう向き合うかが大切です。
――性被害に関して当時は違和感はなくても、後から性被害だったと気づくケースもあると思うのですが、その場合になされる対応を教えてください。
性的同意年齢が引き上げられてから法律でカバーできる場合もあります。一方で、被害者が警察に相談しても、警察の対応によっては、過去の出来事に対して適切な対応が得られなかったことも珍しくありません。
――警察の不適切な対応の例として、どのようなことが挙げられますか?
例えば、痴漢やストーカー被害に遭った方に対して、その時どのような服装をしていたかを聞くことや、服装で被害者を責めることは不適切です。プライベートな部分は同意なしで触ってはいけないという前提がなければなりません。特に日本では被害者に対して服装を責めるような言説が多く存在します。
――性被害に遭う人たちに焦点が当てられていないと。
日本では服装によって性被害を受けやすいという誤解が広まっています。痴漢防止の啓発ポスターでさえも、被害者を責めるようなスタンスで制作された事例があるのも事実です。
2019年、ニューヨーク・ファッションウィークのショーでは、性被害に遭ったサバイバーたちが当時着用していた服をテーマにしたものが行われ、露出が高くない服でも性被害に遭う可能性があることを証明する内容になっていました。