さらに2か月もすると、マコトさんは掃除や洗濯、調理はもちろん、洗い物など一切行わなくなってしまいました。共働きで仕事が忙しいのはお互いさまなので、アキさんは不満が溜まってきました。
「マコトくんがなかなかやらないから、注意するよりも先に自分でやっちゃってたんですよね。心の中では『洗い物やっちゃうよ〜。掃除してるよ〜気がついて〜』って思ってたんですけど…」
マコトさんは持ち帰った仕事の続きや、株のチェックなど、常に何かしら自分のことに集中していて、まわりを気にする様子がないんだとか。

そんな日々が続き、たまりかねてマコトさんに注意すると、数日は努力するものの、すぐ元に戻ってしまうのでした。
「自分のマグカップとか、ずーっと洗わずに継ぎ足して使っているんです。汚くても気にならない人なんだと思います。でも、私が気になるので時々洗っていますが…」
しかし、一緒に出かけたりするのは楽しく、週末はよく2人でデートしていたと言います。
そんなある日のディナーで、ふたりはマコトさんが予約した高級イタリアンへ。そこでアキさんは、素敵な指輪と共に、念願のプロポーズをされたのです。
「指輪は私の私物のサイズをわざわざチェックして、用意してくれたんです。シンプルでダイヤが一粒ついた、理想的な婚約指輪です!」

アキさんは喜んでプロポーズを受け入れました。
「しっかりそういうところはリードしてくれて、レストランも指輪も完璧でした。これで掃除さえしてくれていたら…」
しかし、マコトさんが家事をしないことは変わらず、そのことでたびたび喧嘩するようになっていきます。
「私が『洗い物するって言ってたじゃない!』と怒ると『俺は俺のタイミングでやりたいの!ほっといてくれたらやるから』と言い返されてしまいます。そう言っていながらその日のうちにやらないし、ほっといたらゴミ屋敷になっちゃいます」