――どんな人がリボーンドールを購入するのでしょうか?
「お客さんの9割がSNS上で偶然見つけてくださり、調べていくうちに購入に至ったというパターンです。ほとんどが女性のお客さんで出産経験がある方もない方もいます。男性はプレゼントとして購入される方が多いですね。年齢層は10代から70代と幅広い印象です。
リボーンドールを迎え入れる方のタイプは主に3つあると考えています。1つ目は芸術的な作品として購入する方、2つ目はもともとぬいぐるみや人形が好きな方、そしてセラピードールとして購入する方です」
――セラピーの効果もあるんですね。
「セラピードールとして購入する背景はさまざまなので、人によって、どのように癒やされるかはさまざまです。子どもを授かれなかった方、子育てを終えた方、孫を思い出して懐かしくなる方や、お子さんが小さい頃に訳あって離れて暮らさなくてはならなくなった方、一人暮らしでなんとなく寂しくて、誰かがいる感覚が欲しい方など、本当に多様です。
また、認知症の患者さんの中には、不穏といって精神的に不安定になる方も少なくないのですが、リボーンドールに触れることで穏やかな気持ちになったり、不安感が軽減されたりするケースもあるようです」
――子どもを授かれなかった方が購入すると聞くと、購入者さんにはなかなか葛藤もあるのではと想像しますが……。
「葛藤を感じる方もいると思います。ただ、勘違いされやすいのですが『赤ちゃんができないから、じゃあリボーンドールにしよう』と購入される方はいないんです。赤ちゃんがどうしても欲しいという気持ちは、もちろんリボーンドールで埋まるものではありません。そういう方は養子縁組であったり、他のルートをまず考えるのだと思います。
むしろ赤ちゃんが欲しくてたまらない感情のときは、ネットでリボーンドールをふと目にすると悲しい気持ちになる方もいるようです。
リボーンドールへの感じ方は人それぞれなので、そういう気持ちになる方は“リボーンドールが適用ではない”のだと思います。なので、なかなか赤ちゃんを授かれない方に対して、わたしたちから『これいいですよ』とおすすめするようなことは決してありません」
――では、子どもを授からずリボーンドールの購入をする方は、どんな方が多いのですか?
「不妊治療に今まさに取り組んでいる方というより、授かるためのあらゆる手をしつくして、年齢も重ねて、我が子が欲しいという気持ちがある程度落ち着いた方が購入されることが多いように感じます。
街中で妊婦さんや子連れの家族を見るとつらくなるという方でも、リボーンドールであれば“誰かの赤ちゃん”ではなく“自分だけの大切なものの一つ”になるというのは大きな要素なのかもしれません。もちろん赤ちゃんの代わりではないけれど、見るたびに『かわいいな』『癒やされるな』っていう気持ちが湧き上がる自分を感じられるというか……」
――実際に購入した方からはどのような意見をもらいましたか?
「『毎日が明るくなった』『子どもが自立して寂しくなったけど、昔を思い出して幸せな気持ちになれた』『寝てる姿を眺めているだけで癒やされる』など、たくさんの好意的な意見をいただいています。
子どもを授からなかったあるご夫婦は『人形だけど、見るたびに可愛いと感じる。子どもには恵まれなかったけど違う形で赤ちゃんと接することができてよかった』とメッセージをくださいました」