
もっというと古典的ハリウッド俳優の演技とは、余計なことをしない演技を最大の特徴としている。劇的な場面だからって、変にエモーショナルになったり、大袈裟に表情を作ったりもしない。
起伏がすくない、フラットな演技ともいえる。それこそ『虎に翼』の登場人物たちがときに無の感情を表現する「スン」に近いかもしれない。本作の岩田は常にこのスン状態を保つことで、花岡役の演技を安定させている。
そうした古典的演技についての理解を踏まえた上で、4月6日から放送が開始された『岩田剛典 サステナ*デイズ supported by 日本製紙クレシア』(TOKYO FM・毎週土曜あさ8時)に傾聴してみるとどうだろう?
初回放送では、「Something For Tomorrow」と題して岩田セレクトの映画作品が紹介されていた。朝の番組には過激かもしれないと前置きしつつ岩田が紹介したのが、マーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』(2013年)。
曰く、「土臭いというか、泥臭い。そういう人間らしさがね、すごく僕は好き」と岩田が評する『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』は、実在の株式ブローカー、ジョーンダン・ベルフォードの破滅的な生き様を描いた作品。主演は、レオナルド・ディカプリオ。
「最高に爆笑できる名演技」と岩田が絶賛のディカプリオに対して、「どこからお芝居なのか、どこまでが本気なのか、ほんとに酔っ払ってるんじゃないかとかね、いろいろ考えちゃうくらいすごいリアリティのある芝居なので、僕はほんとそのシーンを見るだけにもこの作品を見る価値がある」と太鼓判を押す。
岩田がディカプリオの名演に強く感心し、演技分析として興味を持った理由はわかる気がする。ディカプリオもまた、古典的なハリウッド俳優の系譜にある人で、ベルフォードに限らず、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)以来スコセッシ監督作品では、常に過去の人物を演じている。
“朝の顔”がセレクトする映画作品としてはかなりファンキーだけれど、『虎に翼』の花岡悟役を演じる上での潜在的な参考例にしているかもしれない。我らが朝ドラ俳優・岩田剛典は、朝からぶち上がってるなぁ。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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