渋谷「ユーロライブ」で行われた公演。それまでカメラの前でおどけていた岡部が開演直前の楽屋では、いきなり無口になる。ベテランでも本番はしっかり緊張することをカメラの前で伝えてくれる。
俳優のこういう姿には好感しかない。好感というと、稽古中に岡部と岩谷の芝居を側で見守る男性がもうひとり。カメラにちらっと写り込むと、岡部がすかさず「息子」と紹介する。
いやいや岡部さん、さりげない(!)。父が息子を紹介することに余念がないのは当然のことだけれど、それがなぜかあからさまに見えない。むしろ自然な流れの中でさりげなく見えてしまう。
劇団の制作でも担当しているのかと思ったら、息子・岡部ひろきもまた俳優。父に密着するのが『情熱大陸』のカメラだとしても変に構えることもない。そりゃ息子をプッシュするいい機会だよなと思うのだが、これがびっくりするくらいそういう雰囲気がない。
あえていうなら、劇団の先輩後輩というか、同僚みたいな関係性に見える。関係性としては父と子だけれど、芝居について考える仲としては上下がまったくない。
この俳優父子にもまた「おもろい」精神が垣間見える。番組内で印象的だったのは、山内ケンジ作・演出の舞台『萎れた花の弁明』で、岡部と息子・ひろきが作中でも父子を演じる稽古中の場面だ。