HYDE「太っていくロックアーティストにはなりたくない」“誰のこと?”と物議。ルッキズムの縛りがキツい日本ならではの発言
L’Arc~en~Ciel(ラルク アン シエル)HYDEの発言が議論を呼んでいます。
口ぶりからすると、HYDEは具体的に誰かを批判したかったのではなく、“L’Arc~en~CielのHYDE”というイメージを守るためのゆずれないプロ意識についての考えを言ったのだと思います。事実、55歳となっても変わらぬ美しさを保っていて驚かされます。
HYDE以外でも、見事な肉体美を誇る58歳の吉川晃司。海外では80歳を迎えても激しいワークアウトによってスリムでいつづけるミック・ジャガーなどが称賛されることからも、自己管理がロックのキーワードになっています。
あからさまに不摂生な太り方だとパフォーマンスより健康が心配になってしまいますもんね。
けれども、日本では昔から“デブ、ハゲ、メガネ、ヒゲは売れない”と言われているように、洋楽に比べてルッキズムの縛りがきついのです。プロ意識とは別にHYDE発言を考える必要もありそうです。
たとえば、アップルコンピュータのCMソングを歌ったアメリカのロックバンド「アラバマ・シェイクス」や、SNSから火がついたテディ・スウィムズやルイス・キャパルディなどのシンガーは、日本だったらデビューすらできなかったのではないでしょうか。
『TOKYO METROCK 2024』中継のトークコーナーに生出演した際に、「太っていくロックアーティストとか、いるじゃない。ああはなりたくない」と語り、“GLAYのTERUやLUNA SEAのことなのではないか”など、SNS上で憶測が飛び交っているのです。
“デブ、ハゲ、メガネ、ヒゲは売れない”?!ルッキズムの縛りがキツい日本
巨体、ヒゲ、ぷにぷにのボディ、日本だったらデビューできなかったかも
巨体、ヒゲ、ぷにぷにのボディ。いずれもアイドル的な要素とはかけ離れているのでビジュアル的な間口が狭まります。 にもかかわらず、売れているということは、彼らの音楽が“耳”に直接届いていることを示しているのだと思うのです。 ルックスの助けを借りられないという不利な状況が、逆に音楽を鍛えている。そういうシビアな条件を通り抜けたものを、きちんと褒め称える文化的な土壌があるということですね。
もちろん、日本人と海外の人は骨格が違うので、太ってしまうととことん格好悪くなってしまう事情もあるでしょう。しかし、サンボマスターぐらいのちょっとふくよかな人たちでもノベルティのようなポジションになってしまうことで、日本の音楽シーンは視覚的に狭くなっているのです。 HYDEの美意識は、その狭さから生じた制約とも言えるのではないでしょうか。カッコよさの定義が薄く浅いところで固定されてしまい、ややもするとアーティスト、ファン両方の成熟を阻(はば)んでしまう。
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