知らない人だけ損をする「銀行預金だけの人」が貧乏になってしまうワケ
円安による原材料費の高騰をはじめ、インフレがじわじわと進行する日本経済。家計の苦しさを感じ、将来に不安を抱く人も多いはず。
そんななか「今後の資産形成を考えるなら、銀行にお金を預け続けてはいけない」と指摘するのが、なかのアセットマネジメント株式会社代表取締役社長をつとめる中野晴啓さんです。中野さんが指摘する「銀行預金だけで資産が守れない理由」を解説します。
(本稿は、中野晴啓『誠実な投資 お金から自由になれる「長期投資」の鉄則』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです)
銀行に資産を預けるだけでは安心できない一番の理由は、商品の価格が上がるインフレ傾向が続いていることでしょう。これまで、日本は長らくゼロ成長が続いており、モノの値段が上がらない現象「デフレ」の期間が長く続いていました。
デフレの時代であれば、今日100円だった商品が、1年後も100円以下で買えることになり、お金の購買力は上がります。
しかし、現在は世界的に、モノの値段が上がるインフレ傾向へと変わりつつあります。実際、日本全国の世帯が購入する製品やサービスの平均的な価格がどのくらい変動したかを測定する「消費者物価指数」は、前年同月比で3%近く上昇しています。
特にこの1~2年の商品の値上がりはすさまじく、食品などの価格を見ても、昨年100円だったものが1.5倍値上げされ、今年は150円になっている……なんてことも多々ありました。今後は、今日100円だった商品が、1年後には200円くらいになっている可能性もないとは言えません。
インフレが進めば、その分だけお金の価値も減ってしまう。いままでと同じように銀行にお金を預けておくだけでは、資産の額面自体は変わらずとも、その価値は相対的に下がる。
つまり、資産を運用しないままでは、大切に築いた資産そのものを減らすことに直結してしまうのです。
インフレ時代の資産防衛策は、金利を上手に使いこなすことです。仮に銀行に預金をしても、それに見合うだけの金利、すなわち利子があれば、インフレに大きく負けることはありません。
たとえば、現在、アメリカの銀行の短期金利は5%ほど。一方、2023年のインフレ率は3%前後です。銀行預金を続けているだけでも、資産は年間2%増えていく。金利のおかげで資産は防衛できるわけです。
数十年前までは、日本でも銀行金利は高かったので、インフレ時代であっても、資産を銀行に預けることに意味がありました。たとえば、1990年12月末、銀行金利は年間6.08%だったので、仮に100万円を預ければ6万円近い利子がついたのです。
しかし、現在は低金利の時代です。銀行にお金を預けても0.02~0.03%前後の利子しかつきません。100万円を預けても、年間200円か300円の利子しか発生しない。それでは、ちっともインフレ対策にはなりません。
インフレ時代の預金は、資産の価値減少に直結する
なぜ、昔は「銀行に預けていればOK」だったのか
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