SNSやテレビCMで連日更新されるのが、美容整形情報。最近はお値段も施術自体もずいぶんとカジュアルになりました。
本書にも登場する医療ハイフは私も経験済みですが、地味に痛いです。脱毛も痛いのですが(生理前のVIO脱毛などもう地獄)、ハイフの痛みはレンチで顔面の骨をギリギリ締め上げられるような、鈍くて重い痛みです(個人的な感想です)。
せっかくなら元を取ろうという卑しい根性からなのか、私も「最強出力で!」とオーダーするタイプ。
しかし、切開をともなう施術は痛みに加えて、むくみや発熱などの身体的影響がつきもの。いわゆるダウンタイムです。
ブルドッグラインにマリオネットラインにゴルゴライン。憎き悩みの種であるこの3大老けラインを解消すべく、まんきつさんが挑んだのが「切開リフト」。
毎日鏡で見る顔が少しでもシュッとしたら、もっと自分を好きでいられる。美は女性の命の源。女性にとってはもしかしたら、3大欲求といわれる「睡眠欲・食欲・性欲」よりも「美容欲」のほうが強いのかもしれません。
「セックスの最中の顔が気になる」という理由で整形する女性がいれば、「泣くと顔が崩れる」という理由で冠婚葬祭で泣かない女性もいます。内面を映す鏡が外面なら、外面を取り繕うことで救われる内面もあるのです。
無理無謀、無茶を繰り返して己をアップデートさせるまんきつさんに、愛が止まりません。
美とは、欲望とは何なのか。考えながらもまた、私は再びアマゾンをポチしたのでした
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx