そんな時、香織さんから怪しい連絡が来たそうです。
「ある時、香織から『ご飯をごちそうするから、一緒に食べに行こう』と誘われたんです。『べつにオゴってもらわなくていいよ』って返信したのですが、『オゴらせて』の一点張り。
そこで気づけばよかったのですが、彼女からの誘いは、いつもと違ってランチではなく平日の夜の時間帯で、店の場所も時間もすべて指定されていたんです」
理由もわからず店に到着したという祥子さん。予約がしてあった店はオフィス街にあるおしゃれなバルでした。
「狭い店内に入ると、すでに満員でした。店内を除くと、カウンター席に香織の姿がありました。普段は着ないようなダボっとした男性っぽいコートに、ズボン姿で、明らかに変装をしているのがわかりました。よく見ると、髪をしっかりと結び、黒縁の伊達メガネもしていました。
向こうがあわてて手招きをしてきたので、急いで駆け寄ると、『後ろは振り向かないで』とくぎを刺されました」
祥子さんが、おそるおそる後ろを見ると、右斜め奥の席に、結婚式で見かけた香織さんの夫が女性と座っていたそうです。
「香織は夫のパスワードを盗んでスマホをずっと見ていたそうなんです。勝手に盗み見た時に、女性とのやり取りが見つかったとのことで。そこで、女性と会う予定の店に、先回りをして張り込みをしていたんです」

夫婦間のいざこざに巻き込まれそうになったという祥子さん。
「彼女は、夫に尾行がばれないように、女性客二人を装うために私を呼んだそうです。確かに、香織の夫が女性と食事する姿を一緒に目撃しましたが、私も友人男性と二人で飲むこともあるので、それが“悪いこと”だとは思えなかったんですが…」
明日の朝が早いという理由で先に立ち去ったという祥子さん。その後の経過を、香織さんに確認したそう。
「香織は、夫に証拠を突きつけ、女性の連絡先などをすべて消させたそうです。それだけでも、やりすぎだと思うのですが、『もう会わないと誓わせた』と勝ち誇って言っていました。よく聞いてみると、夫側はあくまで食事をしただけだと言って男女の仲は否定したそうなんですけどね」