「共同親権を導入したら死人が出ますよ」シングルマザーが語る理由。起こりうる“大きすぎる問題”は<漫画>
「共同親権」の導入を柱とする改正民法などが5月17日に、国会で成立しました。共同親権が導入されると、離婚後も子どもの生活に関わる事を父親と母親が平等に決定できるようになります。
「子どもの権利を尊重できる」とされる一方で、離婚の理由が配偶者のDVや子どもへの虐待である場合、共同で親権を持つことで子どもやDV被害者に危険がおよぶ可能性があります。導入をめぐっては、X(旧Twitter)上では「#共同親権を廃案に」「#STOP共同親権」のタグが連日トレンド入りし、多くの反対署名も集まっていました。
共同親権の導入がはらむ問題点について、DV被害を受け母子避難をした体験を漫画にしている「ねこ★はち(@8FWktKqQjlp9cXU)」さんにお話を聞きました。
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――離婚後共同親権が導入された場合、ねこ★はちさんが懸念していることはありますか?
ねこ★はちさん(以下、ねこ★はち)「共同親権になったら、学校行事への参加や子どもの進路決定、子どもの手術時などにも元配偶者の承諾サインが必要になります。父親と母親、両方のサインがないと、受験票が提出できなかったり、学校の行事に参加できなかったりする可能性があります。
つまり元夫の承諾がもらえないと、何もできなくなるんです。何かあるたびに元夫と話し合わなくてはいけません。私のようにDVを理由に離婚した夫婦や、意思疎通が困難な夫婦で『志望校を決めるのでサインをください』と、毎回確認しなくてはいけなくなったら大変です。
自分のケースでは婚姻中のように、『どういうことか説明しろ』と高圧的な態度をとられるでしょう。『お前の説明がわからないから認めない』と言われることまで想像できます」
――そもそも話し合いができなくて離婚をしたのに、お子さんについてまともな話し合いができるとは思えません。
ねこ★はち「一番懸念しているのは、承諾をする代わりに交換条件を出されることです。『承諾のサインを書く代わりに、子どもとの面会時間をもっと長くしろ』と言われる可能性もあります。承諾と引き換えに、例えばセックスを強要されるケースもあるかもしれません。夫からのDVからようやく逃げられたのに、承諾をたてに再び元夫の支配下に置かれてしまう女性がいると思います。
承諾のサインをもらいに行っても、どんなに必死に訴えてもまた鼻で笑われる……。婚姻中もそうだったように、会話が成立しなくて屈辱的なことを言われる。でも承諾をもらうために我慢をしなくてはいけません。元夫に弱みを握られているような気持ちです」
DV離婚の夫婦、共同親権が導入されたら起こる問題は
“元配偶者の承諾”のために、再び支配下に置かれてしまうかも
