共同親権で「連れ去り犯がいなくなる」という意見のおかしさ
――絶望的な気持ちになりますね。
ねこ★はち「共同親権のメリットがわからないというのが正直な気持ちです。共同親権に賛成している人からよく聞くのは『連れ去り犯がいなくなる』という声です。でも、
話し合える夫婦の関係性であれば、子どもを連れて逃げることはないと思います。その場合は共同親権がなくても、離婚後も子どもと会うことができます。
私の両親も離婚していますが、『共同親権はあったとしても、必要はないよね』と言っています。子どもである私も、両親の共同親権がなかったことで不便に感じたことはありません。法案も可決ありきで話が進んでいるように見えますし、養育費の問題が解決していないことも気になります」

――話し合いができていれば、加害者から“連れ去り”と呼ばれるような「避難」も起きていない気がします。
ねこ★はち「他に、共同親権は何度も申し立てができるというのも気になっています。嫌がらせのために親権の申し立てを何度もする人は出てくると思います。これはリーガルハラスメントで何度も裁判所に呼び出される可能性もあります。
働いていると、一定の収入があり基準を超えてしまうため生活保護はもらえません。必死で働いて子育てをしても、元夫に何度も裁判所に呼ばれ仕事を休み、弁護士費用も重なり生活保護で暮らすよりも貧しい状況になりかねません。かといって仕事を辞めるわけにもいきません。
また、配偶者のDVから子どもと一緒に逃げた場合でも、共同親権が認められたら『連れ去り』とみなされ、刑事告訴をされてしまいます。
私の場合は運良く無事、夫から逃げられました。子どもも大きくなったので、子どもが誰と住むかには子どもの意思が反映されます。でも、これから配偶者から逃げようとしている方々は、共同親権の導入により、心身が危険な状況からの『避難』であっても刑事告訴されてしまう可能性が出てくるんです」