終わったら毎回寝落ち…もしかして、愛されてない?“賢者タイム”の平均値を女医が解説
ここ数年、「性的同意」という言葉が生まれ、愛し合う前にはお互いに「したい」という意思疎通が求められる時代となった。とはいえ、相手の事後の振る舞い次第で、「あれは遊びだったの?」とモヤモヤしたり、疑ってしまうこともある。
「ピロートークを楽しみたいのに、恋人がすぐに寝てしまう。できるならもう一回、したいのに……」
「さっきまであんなに情熱的に求めてくれたのに、終わったら背を向けて寝るってあり得ない! もしかして、からだ目当て?」
そんな男女のすれ違いは、どうすれば解消できるのか?
「セックスのあとの、いわゆる“賢者タイム”にも男女で差があります」と語るのは、『女医が導く いちばんやさしいセックス』を上梓した医師の富永喜代氏。
「こと“性”に関して、男性と女性はお互いを意外なほど知りません。たとえば、男性は女性が濡れていると感じていると思い込みがちですが、濡れているからといって感じているとは限りません。
思い込みや勘違いをそのままにしておくと、やがて心もからだもすれ違ってしまう。ですから、まずは“知る”ことが大切です」と続ける富永氏に、賢者タイムの謎について解説してもらった。
――なぜ、相手のことを嫌いになったわけではないのに、賢者タイムが訪れるのでしょうか?
富永喜代(以下、富永):オルガズムに至るまでの性反応は、「(1)興奮期→(2)高原期→(3)オルガズム期→(4)消退期」の4つの段階に分かれているとされていますが、賢者タイムとは、この消退期に起こるものです。
もともと賢者タイムという言葉はネットスラングなので、厳密な医学的定義はないのですが、「性交や自慰行為でオルガズムに達したあとに見られる、急激に性欲が減退している状態」(『新語時事用語辞典』)と説明されています。
セックスやマスターベーションでオルガズムを得ると、脳内には愛情ホルモンのオキシトシンや快楽を生むドーパミン、鎮痛・鎮静作用を生むβ‐エンドルフィンなど、さまざまな脳内ホルモンが分泌されます。またセロトニンという睡眠・覚醒のリズムを整える物質も分泌され、自然で質の良い睡眠に導きます。
富永:特に男性が射精をした後は、プロラクチンというドーパミンの興奮作用を抑制し、眠気を起こす物質が脳内から分泌されます。これが賢者タイムの正体です。
興奮状態から落ち着き、ぼーっとしてしまうのは、なにも女性への愛情がなくなったからではありません。
もちろん、賢者タイムを理由に女性を雑に扱っていいとはなりませんが、女性もこうした男性のメカニズムを知っていれば、セックスのあと、思わず寝落ちしてしまったパートナーの横顔を見て「仕方ないなあ……」と苦笑いできる心の余裕も生まれてくるのではないでしょうか。
賢者タイムは相手への愛情不足によるものではない
男性のメカニズムを知ることで心に余裕も
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