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『虎に翼』31歳俳優がジュノンボーイで受賞していた“意外な賞”。大袈裟な演技で旬が10年以上続くワケ

抑制されていた瞬間の演技

 どんなキャラクターを演じるときにも暑苦しい戸塚だが、『虎に翼』の轟役はその最高点。戸塚は、2010年のジュノン・スーパーボーイ・コンテスト(第23回)に出場し、理想の恋人賞を受賞している。でもこの称号とあの暑苦しさはいったい、どうしたら共存するのだろう?  そこはプロの俳優である。ただただ一面的に大袈裟で暑苦しくいるだけじゃない。ときには繊細な表現力をちゃんと使いわける。鮮やかなコントラストの俳優だ。 『虎に翼』第10週第50回で戦後、判事になった花岡が餓死する。もっとも衝撃を受け、悲しみに暮れたのが轟。かつての学友・山田よね(土居志央梨)と再会した第11週第51回、「惚れてたんだろ、花岡に」と言われ、最初は否定する。でもその眼差しは嘘をつけない。今でも花岡を慈しんでいる。  轟の花岡に対する感情が単純に恋なのか、愛なのかはわからない。曖昧だけど、でも誰より切実な気持ちを抱く相手に対する轟の慈愛をにじませる戸塚の演技が、この瞬間ばかりはうまく抑制されていた。

戸塚純貴の“旬状態”

『青の帰り道』DVD(オデッサ・エンタテインメント)

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 学生時代と社会人になってからの雰囲気を見事な加減で演じわけた横浜流星との共演作『青の帰り道』(2018年)も忘れがたいが、こういう振り幅を見せられちゃうと、大袈裟も繊細もひっくるめて、彼自体が愛すべき存在感の俳優だなぁと思う。  そりゃいろんな作品で引っ張りだこになるのもうなづける。『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ)での俳優デビュー以来、現在では年に5本以上の作品に出演するのは当たり前になっている。つまり、10年以上、戸塚純貴の“旬状態”が続いているのだ。  何クール連続で出演しているからすごいとかそういう次元じゃない。どのクールにも出てもらわなきゃ逆に困る。そんなレベルの話。戸塚純貴は、作品内でも常にアベイラブルなコンディションを整えている。
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ピントが合う前から存在感が明確
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