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断食に「体に味噌を塗って毒出し」も!あらゆる“自然派”健康法を試した女性が目を覚ました瞬間とは

化学物質過敏症によって、いままでどれほど自分がつらい思いをしてきたか。 飲食店で使われる食材の添加物や農薬、すれ違う人の香料で不調が悪化するので、友だちと外食することもできない。頼れる家族はいないのに、病気で職を失った。不調をだましだまし和(やわ)らげ、必死に日常生活を取り戻そうとしている。 化学物質過敏症沼202407それを「よかった」とは、さすがに聞き流せない言葉である。しかしナオさんの心中を置き去りに、どんどんトークに拍車がかかっていく。 「この前なんかねぇ、うちの若手社員が風邪をひいて。彼、前から昼ごはんにコンビニおにぎり食べてたんですよねえ~。そしたらもう、案の定! しかもそのうえ……風邪薬まで飲んじゃって! 3日も休んだんですよ!? 薬を飲まなければ、もっと早く回復したのに。薬や添加物って、本当に怖いです」

「うちの食品だけを食べていれば」

普通に健康な人であれば、コンビニおにぎりを食べてもいいのでは? そう思ったナオさんは、疑問を口にしてみた。 「えーと……。貴社ではコンビニおにぎりを食べていたら、叱られるのですか?」 化学物質過敏症沼202407面接官の答えは「イエス」である。ただし「時々ならOK」。自然食品会社のイメージというものがあるのはわからなくもないが、お高い自社商品を無理なく買えるくらいの給料をくれるのだろうか。 「一番理解できなかったのは、『うちの野菜だけを食べれば、病気にならない』という主張でした。化学物質過敏症はもちろんのこと、がんも、うつも、花粉症もアレルギーも、うちの自然食を食べていればかからない! と断言しだして、唖然(あぜん)。 ちなみにその会社では、自然栽培の野菜を食べていれば病気にならないという主張のもと、健康保険がありませんでした。必要な人は、個人で国民健康保険に加入するとの話です」

完治も改善もむずかしい疾患

素直な性格のナオさんの顔に「えーーーー」という気持ちが丸出しになっている光景が、目に浮かんでしまった。 面接は話が盛り上がることなく終わり、予想どおり採用されなかった。 化学物質過敏症沼202407その後、金銭面的にも自然食はやめ、いまでも不調は改善されないままだ。「電子レンジを使うときは、正面に立たない(電磁波対策)」「健康茶を飲む」などの工夫を、細々とつづけている。 ひとり暮らしで就労も外出もままならず、社会から切り離されがちな生活を送る毎日のなかで、ふとこう思うという。 「無農薬の野菜を食べてこなかったから、こうなってしまったのかな」
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「自然が一番」の危うさ
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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