
元気になって息子と旅行
自分の人生を夫だけに頼らず、自分の足で歩めるようになろうという意識も芽生えました。夫は20歳年上なのでいつまでも頼れないという実情もありますが、夫に依存していたら、いつまでも夫を意識した自分から抜け出せないと気づいたのです。
具体的には10年くらいの長期プランで、焦らずに末永く続けられる仕事を見つけようと決意。とにかく何か動き出そうとパートを始め、社会復帰の一歩を踏み出しました。そこでパート仲間と意気投合。仕事の合間には、その日の晩ごはんの献立や、スーパーの特売の話など、他愛もない話題で盛り上がったりと「いわゆる普通の主婦生活」ができるようになるまで復活しました。
普通の生活ができるということが、こんなに楽しくありがたいことだと実感できたのも、乳がんの治療を経験したからではないかと思います。
暗闇から息を吹き返した私は、それだけでは飽き足らず、もっと先まで続けられそうな仕事を見つけたいと思うようになりました。試行錯誤の末に書く仕事をいただけるようになり、こうして皆様にわたしの体験を届けることができるようになりました。
わたしの計画はまだまだ先が長く、10年後にどうなっているかはわかりません。けれどコツコツと試行錯誤を続けて進んでいけば、10年後には今の自分よりもずっといい感じになってるはず。
こういう思いで人生を歩めるようになったのも、乳がんを経験したおかげ。人生観も大きく変わりました。まだまだやりたいことがたくさんあるので、元気に長生きしたいものですが、とりあえず今のわたしは人生の満足度が以前よりもずっと上がったと感じています。
わたしが一生を終えるとき「ああ、まぁこんなもんで上等でしょう」くらいは言えるように、これからもいろいろあるとは思いますが、あらゆることを経験として楽しみながら生きていきたい。そんな思いで、この20話にわたる連載の筆を置こうと思います。
長らくの連載に伴走してくださった女子SPA!編集部の担当者様、監修をしてくださった先生方、そしてお読みくださった読者の皆様ありがとうございました! わたしの体験が少しでも誰かの役に立てば、とても嬉しく思います。
<文/塩辛いか乃 監修/沢岻美奈子(沢岻美奈子女性医療クリニック院長)>
【監修者:沢岻美奈子】
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。子宮がん検診や乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く行なっている。更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い女性のヘルスリテラシー向上のために実際の診察室の中での患者さんとのやりとりや女性医療の正しい内容をインスタグラムで毎週配信している
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。
note/Twitter:
@yukaikayukako
連載「
乳がんドタバタ日記」Kindleで発売中!