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朝ドラで存在感を放つ50歳も実は“二世俳優”、父は『ちゅらさん』で頑固ジジイ役を好演

かつての時代の余韻を生きている二世俳優

『おむすび』© NHK 北村和夫の簡単な経歴を紹介しておくと、1953年にテネシー・ウィリアムズの戯曲『欲望という名の電車』でスタンレーを演じ、杉村春子の相手役になったことから、1955年に文学座の座員になった(成瀬巳喜男監督の『晩菊』<1954年>で元芸者・倉橋きんを演じる杉村春子は、世界映画史の名演として記憶されている)。根っからの演劇人である。  北村有起哉もまた俳優デビュー作が舞台作品(『春のめざめ』)。と同時に今村昌平監督の『カンゾー先生』(1998年)で映画作品とWデビューした。北村有起哉は、今村監督が設立した日本映画学校(現在の日本映画大学)で演技を学んだひとりだが、今村監督と北村和夫は大学時代からの付き合いだった。 『にっぽん昆虫記』(1963年)など、今村組の常連俳優として映画の世界でも活躍した。2007年に北村有起哉は、『欲望という名の電車』で父と同じスタンレー役を演じている。父子の共演作としては、井筒和幸監督の『のど自慢』(1999年)がある。共演といっても、同じ画面を共有しているわけではない。同級生たちとカラオケでだべる坊主頭の高校生を演じる息子。孫を可愛がる老人を演じる父。  重厚な演劇世界と端正な映画世界を渡り歩く俳優の父がいて、息子もまた俳優として飛び込んだ。二世俳優なんて言葉が細く痩せて聞こえるくらい、豊かで分厚い俳優の世界があった。二世俳優としての北村有起哉は、その名残り、かつての時代の余韻を生きている。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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