母がマルチ商法で買ったサプリを姉がこっそり捨てたら引っぱたいた…「うちはおかしいのかも」マルチ2世の苦悩とは
それが、母のなかで都合よく脳内変換されるのも、ライオさんは苦々しく見ていた。
「祖父が、マルチ商法をがんばってるっていつも言ってくれていた!…母はずっと言うんです。でも祖父がそんなことを言っているのは、誰も聞いていない。ずっとうんうん聞いていただけのこと。
そういう家族がいると、まわりも本当に病んでいきます。僕はいま、似たような立場の人たちの話を聞く活動をしていますが、思い出したくもないという人がほとんどです。身内にマルチ会員がいると、恥ずかしくなる。隠したくなる。だから被害が表に出にくいということもあるでしょうね」
2021年に『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ポプラ社/ズュータン著)という本が出版された。それを読んだときも、「まるで自分のことが書いてあるかと驚いた」とライオさんは話す。
マルチ商法にハマり、話が通じなくなってしまう家族。ところが当の本人は「家族の幸せ」「家族の健康」が動機の部分も多く、そうなると家族も憎み切れない。
そして生まれる葛藤と苦しみ。家庭のなかにある「マルチ商法の被害」は、こうしたものも多いのだ。
<取材・文/山田ノジル>

理解されにくい2世の苦しみ

山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。
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