母がマルチ商法で買ったサプリを姉がこっそり捨てたら引っぱたいた…「うちはおかしいのかも」マルチ2世の苦悩とは
はさみはその後、別のタイミングで同じものが2回送られてきたという。ライオさん曰く、ここにもマルチ商法の特徴が表れているという。アップが作業的に自分のチームを“ケア”している感が、にじみ出ているのだ。
「当時、送ってきたことも覚えていないんだろうと感じましたね。活動の一環としての定番の贈り物であって、お祝いの気持ちは微塵(みじん)もないのだろうと」
ライオさんへの直接的な勧誘は、とある会食のときだった。ライオさんは、大学2年生になっていた。
「僕と母、母の友人。3人で会食することになったんですよね。すると食後、『もうひとつ予定があるの!』と不意打ちで、Aの夫の職場であるクリニックに連れていかれました」
クリニック待合室の椅子に座る3人。さらに周りには、会員らしき人たち数名が横並びに座っていた。そして頭上のモニターで、マルチ商法を紹介する動画が流れてくるのを視聴する時間。権利収入がいかに大切で、マルチ商法で財産を築くことができる!という内容だった。
「あーこういう感じなのか……と思うと同時に、気持ちわるっ!となりましたね。動画を視聴したあとは、Aさんのプレゼンタイムにつづいて、ひとりずつ感想や夢を語らせられる時間となりました。その後強引に会員にならされるなどはありませんでしたが。
ちなみに、A夫妻の家の近くに偶然知人がいるのですが、その近所ではA夫婦を中心としたコミュニティは、マルチ村と呼ばれているそうです」
それ以外でも、母は隙あらばライオさんの周辺に目をつける。大学時代は、友人を実家に誘うよう呼びかけられた。目的が見え見えなので、当然断る。
結婚した際も、妻とは連絡先を交換させなかった。
「『料理習いに来ない?』とか言って、妻を誘うのがもう目に浮かびますよ。それって間違いなく、勧誘までがワンセットですからね。母から妻には、必ず自分を通して連絡してもらうようにしています」
誘われても、失礼のないよう断ればいいだけでは?と思う人もいるだろうか。そうはいかないのが、マルチ沼。
単なるものの売買と異なり、断ったが最後、勧誘者は自分の存在を否定されたかのようにとらえ、敵認定してくるケースが多々報告されている。極端な白黒思考である。

なし崩し的に勧誘の場へ

息子の友人、妻もターゲット

自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。
「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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